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データが変えた尼崎の観光戦略
分析から次の一手まで、一気通貫サポートで実現

工業都市として知られる兵庫県尼崎市で、画期的な観光マーケティングが始まっています。JTBコミュニケーションデザインが提供する「AITでまちあげ」を活用し、ウェブ広告への流入から実際の来訪者までを数値で可視化。2019年の尼崎城再建をきっかけに観光戦略に舵を切ったまちにとって、データ分析が示した事実は想定を大きく覆すものでした。一般社団法人あまがさき観光局の事業部長・高村陽子氏に、データが導く新たな観光戦略について聞きました。

観光資源未開発の工業都市
尼崎城再建を機に観光に注力

―尼崎市の観光資源を教えてください。
高村陽子あまがさき観光局事業部長(以下「高村」) 工業都市として発展してきた尼崎には、元々、観光のリソースがそれほど多くはありませんでした。観光協会もありません。転機となったのは2019年の尼崎城再建。前年に観光局を設立し、現在では尼崎運河クルーズやコスモス園なども整備され、甲子園やUSJへのアクセスの良さも活かして観光振興に取り組んでいます。
―観光プロモーションで抱えていた課題は。
高村 尼崎城オープンから丸1年経つ前にコロナ禍が始まり、せっかく盛り上がっていた観光が停滞してしまいました。コロナ収束後、再スタートを切ろうとした際に過去のプロモーション効果を検証しようとしましたが、活用できるデータが何も残っていませんでした。取り組み内容や入城者数の資料はあるものの、それが本当にプロモーションの効果だったのか、媒体選択が適切だったのかを検証する材料がなく、データを蓄積・比較する仕組みもありませんでした。
―そこで、観光データ分析のツールを導入したわけですね。
高村 ホームページを見た人の実来訪を「見える化」ができる「AITでまちあげ」を紹介いただき、これは画期的だと思い、すぐに導入を決めました。

宿泊促進の広告に関わらず
大半が日帰り客という想定外

―2024年2月からの3カ月のテストマーケティングではどのような結果が出ましたか。
高村 春休みからゴールデンウィークにかけて、尼崎への「宿泊」を訴求する広告を出しました。ところが、宿泊を促す広告だったにもかかわらず、実際に来訪した人の8割が日帰り客でした。日帰り圏内の人たちが広告を見て、実際に足を運んでいたことがわかったのです。さらに、ホームページ訪問者は東京・神奈川が上位でしたが、実際の来訪者は少ないことも発見でした。人口に比例してクリック数は多いものの、来訪にはあまり結びついていませんでした。
―想定外の結果だったのですね。
高村 人流データや駅の乗降者数などは従来から取得できましたが、広告を見た人と実際に来訪した人が同一人物なのかは分かりませんでした。AITでまちあげにより、広告と実来訪を結びつけて見ることができるようになったのです。これまでの「おそらくこうであろう」という仮説が、「実際にこうでした」という確証に変わりました。これは本当に大きな変化です。
市に対しても説得力のある報告をすることができましたし、今年度からの本格導入に繋がりました。
―ツールの使いやすさはいかがですか。
高村 ウェブマーケティングには専門用語が多く、観光局の担当者がきちんと理解できるかが課題でした。しかし「AITでまちあげ」のレポートは、知りたいことだけが分かりやすくまとめられており、専門知識がなくても「良い結果」「改善傾向」などが直感的に理解できます。また、年2回の報告会で専任担当者が詳しく説明してくれるため、結果の解釈や次の課題についても相談でき、非常に心強いサポートを受けています。

観光行政には必要不可欠な
ウェブマーケティング視点

―データに基づくプロモーションの重要性についてどうお考えですか。
高村 観光は実は非常に古い産業です。誰もが観光客として経験があるため、「もっとこうすれば若い人に人気が出るのでは」など、誰でも意見を言えてしまいます。製造業なら素人が「この車は絶対売れる」とは言えませんが、観光は違います。それ自体は悪いことではありませんが、限られた予算で成果を出すには、感覚やセンスだけでなく、エビデンスに基づく判断が不可欠です。
―自治体が観光でマーケティング視点を持つべき理由を教えてください。
高村 観光は完全にパイの取り合いの時代です。『良いところなので来てください』では誰も来てくれません。いつ、誰に、何をして欲しいのかを戦略的に考え、データに基づいて実行する必要があります。まちの強みや魅力と世の中のニーズをマッチングさせていく点では、自治体の移住・定住促進や企業誘致などの政策と同様に、観光行政でもマーケティングの視点を持つことが非常に重要です。

専門家のサポートを受け
蓄積データを次の戦略に

―今後の展開を教えてください。
高村 年間を通じてデータを蓄積し、どのコンテンツが実来訪に繋がるか、季節ごとの傾向も把握したいと考えています。尼崎城、運河クルーズ、コスモス園など、それぞれに集客の波があるはずです。最適な広告タイミングや訴求内容を見極め、情報を見てから実際に来訪するまでの期間なども分析していく予定です。
―どのような自治体・団体におすすめしますか。
高村 効果検証をきちんと行いたい、限られた予算で本当に効果があるのかを知りたい、という課題を抱えている自治体は多いと思います。私たちの経験では、分析ツールだけでは不十分で、広告の打ち方やWebサイトの作り方も含めた総合的な取り組みが重要でしたので、その点も支援いただきました。
データを見て終わりになってしまっては意味がなく、それを次の戦略に活かすための仕組み全体を整えることが必要です。専門的なサポートを受けながら、事業パートナーとして一緒に取り組める体制があることで、データに基づく観光戦略が実現できると感じています。

※本記事は『首長マガジンvol.10』(株式会社 全力優)からの転載です。 

プロフィール

高村 陽子(たかむら ようこ)
(一社)あまがさき観光局事業部長。アパレル業界を経て旅行会社に転職。海外旅行を専門に、企画・販売・プロモーションを担当。2020年より現職。

「AITでまちあげ」が提供する分析レポート

三つの特長

1.プロモーション(広告・Webサイト発信情報)と実来訪を結びつける可視化:ウェブ広告を見た人が実際に来訪したかを計測します。サイト発信情報の効果検証としても活用できます。

2.専門知識不要の分析レポート:誰が見ても分かりやすい、知りたいことに特化したレポートを作成。Webサイトの解析及び対象地域への実来訪計測結果を、総合分析することで、「潜在ターゲット」と「来訪ポテンシャル」を読み解き次の施策につなげます。

3.専任担当による伴走支援:データ分析だけでなく、戦略立案から実行まで事業パートナーとして、プロモーションとウェブマーケティングの促進を支援します。

AITでまちあげ

マイクロアド社の地方自治体特化型マーケティングプロダクト「まちあげ」とJTBコミュニケーションデザインのツーリズム業界向けWebアクセス解析サービス「AIアナリストforツーリズム(AIT)」を連携した、地方自治体向け観光プロモーション支援サービス。
ターゲットを捉えた広告配信、Webサイトの解析及び対象地域への実来訪計測まで、一気通貫でサポートする。

お問合せ先
株式会社JTBコミュニケーションデザイン
「AIアナリストforツーリズム」担当 Email: pr-analytics@jtbcom.co.jp