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JTBコミュニケーションデザインの様々な取り組みをご紹介します。

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参加者同士のポジティブなコミュニケーションはどう生まれたか

クラフトビールファン向け生配信イベントで地域と業界を応援
「クラフトビール・オンラインフェス」

2021年1月23日から毎週4回連続で実施された「クラフトビール・オンラインフェス」は、新型コロナウイルス感染拡大に伴って消費が減少している酒類業界の活性化を目的とし、クラフトビールの魅力を伝えるために国税庁が主催した生配信イベントです。日本各地のクラフトビールメーカー52社・ビアパブ33店舗が参加し、ビール購入参加枠の多くは完売となるなど、大盛況となりました。
この運営進行に携わった事業共創部 コンベンション第一事業局の嶋倉・木村が、「クラフトビール・オンラインフェス」企画の舞台裏と参加者の声をご紹介します。

クラフトビールに関するプロモーションは初の試み
様々な要素を盛り込んだ企画に

いま、クラフトビール業界は苦境に立たされています。そもそも自宅よりも、レストランやビアパブなどで飲まれることが多い中、飲食店の利用者が減っているためです。そこで、国税庁が、酒類の国内消費回復と拡大に向け、クラフトビールに接する新しい消費者を増やすために「クラフトビール・オンラインフェス」を初めて主催することとなり、JCDが本事業を受託しました。

国税庁としてもクラフトビールのプロモーションは前例がないというゼロからのスタートでした。今回、通販を利用して"宅飲み"需要を増やすという目的や、なかなか通常通りに営業することができないビアパブへの支援など、いろいろな要素を盛り込むことが求められました。制作進行から運営方法、申し込み告知、配信手順など、どうしたら目的を達成できるか、何度も議論した上で作り上げていったイベントでした。

毎週土曜日に、4回連続で行った「クラフトビール・オンラインフェス」では、クラフトビールメーカー52社・ビアパブ33店舗が集合し、日本全国を4つの地域に分けてそれぞれの地域のクラフトビールやビアパブを特集。日本のクラフトビールの魅力を伝えました。今回、クラフトビールメーカーやビアパブは公募で募ったのですが、応募は想定以上。なお、視聴者の参加方法としては、(1)特設サイトからの申し込み (2)各クラフトビールメーカーの通販サイトにてフェス限定ビールセットを購入 もしくは 各地域のビアパブで専用のビール持ち帰り容器「グラウラー」に入れて提供されたビールをテイクアウトで購入 (3)イベント当日に自宅などでビールを片手に視聴していただく という流れで設計しました。

約2ヶ月の準備期間
クラフトビールファンのSNSからワクワク感が醸成

思えば、2020年10月半ばの業務開始から12月18日の公式サイトオープンまで、約2ヵ月の短期間で、緊急事態宣言の影響などもありながらの急ピッチでの準備でした。更に、初めて実施するイベントでどのように参加者を募るかは、とくに頭を悩ませましたが、「国税庁が"神イベント"をやっている!」というツイートが話題入りするなど、回を重ねるごとに盛り上がっていきました。また、クラフトビールの賞味期限は短いため、必ずクール便での配送にし、送料無料で配信日の2~3日前に到着するように設定していたのですが、「ビールが届いたけど飲んじゃおうかな~。でも、当日まで待たなきゃ!」などと、SNSに書き込んでくれる購入者の方が多く、そういった期待感を事前に醸成することができたのは良かったですね。

クラフトビール・オンラインフェスの様子

クラフトビール・オンラインフェスの様子
クラフトビール・オンラインフェスの様子

オンラインイベント出演に慣れていない出演者には
丁寧なフォローを実施

クラフトビールメーカーの担当者の方は、当日、生配信での出演となるため、そのフォローも運営側でしっかりと行いました。原稿は事前に用意していただき、たとえば背景にビールの絵柄やこだわりのものを飾ったほうが効果的です、といったアドバイスもしました。1つ1つノウハウを伝えていくなど、事前準備にはたくさんの時間をかけましたね。

オンライン会議システムに慣れていない方がほとんどでしたので、事前のWi-Fi接続確認も含め、個別に対応しながら環境整備はかなり丁寧に対応しました。オンラインイベントの難しさは、何かあったときにすぐにフォローができないことです。事前に何度もすりあわせをして安心してもらうことで、全4回誰も欠けることなく成功させることができました。

双方向型オンライン配信で生まれた
ポジティブなコミュニケーション

「クラフトビール・オンラインフェス」は、JCD内での特設スタジオから全国各地をつなげての生配信を行いました。スタジオでは司会者とコメンテーターとで進行し、クラフトビールメーカーやビアパブ、ビール有識者のゲストの方々などは全員オンラインでの参加でした。構成・進行は"視聴者参加型番組"風にして、参加者はただ見ているのではなく、チャットで参加もできる双方向を意識した設計にしました。チャットのメッセージはリアルタイムで司会者がコーナー間で紹介し、また事前に参加者から集約した質問をそれぞれの登壇者に答えていただきました。

特に作り手であるクラフトビールメーカーの方々と講演をしてくれたゲストの方々、そして飲み手である参加者がチャットを通じて、ライブでコミュニケーションできるというのはお酒好きの方たちにとって、ものすごく大きな魅力と感じてもらえたようです。メーカー担当者の言葉に、参加者がチャットで「待ってました!」「○○さんサイコ~!」などのコメントを発信。想定以上の盛り上がりになることもありました。

事業共創部 コンベンション第一事業局 木村
事業共創部 コンベンション第一事業局 木村

 

第1回のトップバッターだった富士桜高原麦酒の醸造家・宮下天通さんが、醸造所を背景にしてビールを片手に「みんな、飲んでる~?」と、とてもダンディーで素敵な雰囲気で登場していただいたおかげで、チャットも大盛り上がり。オンラインであっても、場の雰囲気をぱっと盛り上げてくださる方っているんですね。人選は大事だな、と思いました(笑)

ライブで配信が進んでいる画面の部分と、チャットで盛り上がっている部分と、Q&Aで盛り上がっている部分、との3つのレイヤーでイベントが展開されたのも参加者が楽しんだ1つの要素だったようです。約2時間のオンラインイベントでしたが終盤に至るまで視聴数がほとんど落ちませんでした。

ネガティブなコメントがついた場合、イベントの雰囲気にも影響してしまいますので、コメント欄をオープンにするかどうかは迷ったポイントではありました。でも、今回参加者からのポジティブなコメントは途切れることがなく、回を重ねるごとに参加事業者とのQ&Aも活発に行われて、ビールを飲みながらイベントに参加するというスタイルを非常に好意的に受け入れていただきました。結果、オンラインだからこその双方向性を活かすことができました。

事業共創部 コンベンション第一事業局 嶋倉
事業共創部 コンベンション第一事業局 嶋倉

参加者やビールメーカー・ビアパブの方々からの温かいコメント

参加者からは「楽しかった」「このイベント、神!」「毎週楽しみにしていたのに、終わってしまい悲しい」など、たくさんの温かいコメントをいただきました。この仕事をやって良かったなと純粋に思い、私たちにとっても今回のオンラインイベントは印象的なものでした。

ビールメーカーやピアパブの方々からは、ビール購入参加枠もほとんどが完売、さらに実際にビールを飲んでいる参加者の声が直接聴けたということで、感謝の声を多くいただきました。

あるビールメーカーさんでは、自分たちのビールを購入した参加者に声をかけ、二次会をやったという後日談も聞き、このイベントを通して作り手と飲み手の新しいつながりが作れたことは非常によかったなと思います。

クラフトビールには、地域へ人を呼び込むチカラがある

また、イベント終了後のアンケートでは、様々なビールメーカーがビール談義をするコーナーが特に面白かったという声が多かったです。クラフトビールの魅力を知ることができ、コロナが収束したら実際にブルワリーやビアパブへ訪れたいという感想が多くありました。クラフトビールは地域に密接に関わっていることもあり、特設サイトやパンフレットでは日本地図に各メーカーのクラフトビールをプロットしているのですが、各地のクラフトビールを飲み歩く旅をしてみたい!というチャットの声もありました。

クラフトビールは、地域へ人を呼びこむポテンシャルがあるなと思いました。今回は全国でしたが、例えば、1つの都道府県単位でいくつかのクラフトビールを集めても、規模感は違うかもしれませんが、地域活性や地場産業支援につなげることはできると思うんです。

クラフトビールメーカーもビアパブも自分の住んでいるところを活性化したいという気持ちがありますし、地域色があり観光要素が強いクラフトビールはそのコンテンツのひとつとしてとても可能性を感じましたね。こういった地域に密着したコンテンツを活用したコミュニケーションを創出し、地域活性へ寄与していくことはJCDのミッションでもあると考えています。


■「クラフトビール・オンラインフェス」 概要
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shienjigyo/0021003-008.htm

■「クラフトビール・オンラインフェス」 第4回の様子

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