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「NAGANO GREEN MICE(長野県観光機構×JCD )」はこうして生まれた

全国に先駆けてサービス開始した舞台裏に迫る

(一社)長野県観光機構が2022年9月よりスタートした「NAGANO GREEN MICE」。
企業や団体が長野県内の特定施設でMICE(※)を実施する際に、会場で使用される電気を実質的にCO2排出量ゼロで賄ったものとして示すことができるソリューションです。
この「NAGANO GREEN MICE」は、JCDが提供する「CO2ゼロ MICE®︎」のOEM供給によって開発されました。(一社)長野県観光機構とJCDのコラボレーションはいかにして生まれたのか? 全国に先駆けて始まった取り組みに込められた想いと今後の展望について、(一社)長野県観光機構の佐藤啓介専務理事、同パブリック事業部の岩本文成氏、提案を担当したJCD事業共創部ソーシャルビジネス局局長の井上裕生氏の3名にお話を伺いました。

※MICE(マイス):
企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議 (Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字を使ったビジネスイベントの総称。

プロフィール
佐藤啓介 専務理事(一社)長野県観光機構
佐藤啓介 専務理事

2002年(株)電通入社。2016年から地方創生室に異動し、地方創生関連の事業プロデュース等に従事。2018年7月から(一社)長野県観光機構に出向し、経営改革や観光サイト「Go NAGANO」の立ち上げ等に携わる。2021年4月に経営改革推進アドバイザーに就任、2022年4月より(一社)長野県観光機構に移籍、専務理事に就任。現在に至る。

岩本文成氏(一社)長野県観光機構
パブリック事業部 岩本文成氏

1989年(株)JTB入社。同社上田支店支店長、その後国内商品事業部地域統括プロデューサー(長野県担当)として、長野県への誘致事業、宿泊業のコンサルタント、長野県着地型コンテンツを多数開発。地域交流事業、着地型コンテンツ開発、DMO支援事業に取組む。2018年4月に(一社)長野県観光機構インバウンド推進部部長に就任後、販路市場開拓事業に従事、2022年4月より現職。

(聞き手)
井上裕生株式会社JTBコミュニケーションデザイン
事業共創部 ソーシャルビジネス局 局長
井上裕生

1991年(株)JTB入社。営業職を経て2006年(株)JTBビジネスイノベーターズで新規事業開発に従事、その経験を活かし、2016年より現JCDにて電力小売事業を立ち上げ、2021年6月CO2ゼロ MICE®︎をリリース。環境・エネルギー、地域交流、人財開発、など担当は多岐にわたる。直近では観光産業における温室化効果ガスの可視化・削減分野に注力している。
※社名・肩書きは2022年10月時点のものです。

  1. 企業のゼロカーボン達成をサポートする「NAGANO GREEN MICE」とは?
  2. (一社)長野県観光機構とJCDとのパートナーシップはいかに築かれたか?
  3. 事業活動×企業活動の全社的取り組みでサステナビリティに貢献するJCD

1 企業のゼロカーボン達成をサポートする「NAGANO GREEN MICE」とは?

オンライン取材風景キャプチャ
オンライン取材風景キャプチャ

早速ですが「NAGANO GREEN MICE」の内容について教えてください。利用者にはどのような利用メリットがあるのでしょうか?

佐藤
「NAGANO GREEN MICE」は、長野県内の参画施設でMICEを実施する際に、利用する電力相当分のグリーン電力の証書を受け取ることができるソリューションです。言い換えれば、MICEの実施に必要な電力を実質的にCO2排出量ゼロで賄うことができます。これによって、企業や団体が掲げるゼロカーボン、カーボンニュートラルの目標を達成する一助としていただくことができます。

仕組みについても教えてください。なぜ「NAGANO GREEN MICE」の利用によって、使用する電力のCO2排出量を実質ゼロにできるのでしょうか?

佐藤
これはグリーン電力証書という仕組みを活用しています。水力や風力、太陽光などの再生可能エネルギーによって生み出されたいわゆる「グリーン電力」と呼ばれる電気も、それ専用の電線を使って配電されるわけではないので、電線に流れた時点で通常、電力かグリーン電力か識別できません。

そこで、「電力そのものの価値」とは別に、二酸化炭素を排出せずに発電されたという「環境価値」を切り離して証書化したものがグリーン電力証書です。

電力の使用者がグリーン電力証書を購入することで、例えば「ここで使用する100kW分の電力は太陽光発電で作ったグリーン電力です」と謳うことができるようになります。「NAGANO GREEN MICE」はこの仕組みをMICEに活用し、企業が利用しやすいようにパッケージ化したものとなります。

― 全国でも先駆的な取組みとなりますが、(一社)長野県観光機構として、どのような想いがあるのでしょうか?

岩本
2023年のG7外相会合が軽井沢で開催されることが決定していますが、長野県はかねてよりMICEの開催地として一定の高い評価をいただいてきました。
「NAGANO GREEN MICE」のような取り組みが幅広く認知されることで、MICE開催地としての長野のブランド認知がさらに高まるとの予測のもと、全国に先駆けて取組みを開始しました。

― MICE開催地としての長野県の魅力はどんなところにありますか?

岩本
長野で開催できるMICEには大きく分けると次の3つのカテゴリーがあると考えています。
まず1つ目として代表的なものは長野市や松本市で開催する「シティMICE」。これは東京から1時間半~2時間圏内の地方都市で行う都市型のMICEです。

2つ目は「温泉MICE」。温泉付きの施設で会議等をし、それから懇親会をして、入浴、宿泊もするというものです。

3つ目が「リゾートMICE」。軽井沢を筆頭に、白馬、安曇野などで実施されます。自然豊かなリゾート環境でMICEを行うことで、都会のオフィス街にいる時とはまた違う脳が活性化されて良いアイディアが出る、チームメンバーとのリレーションが深まる、といったことで好評を得ています。このような表情豊かな3つのカテゴリーが長野でのMICEの特徴です。自然豊かな環境を強みとした開催地だからこそ、その自然環境をより大切にしようというメッセージ性を含む「NAGANO GREEN MICE」の試みは、まさに長年に渡り取り組みたいと考えていたものでした。

長野の風景

2 (一社)長野県観光機構とJCDとのパートナーシップはいかに築かれたか?

― 「NAGANO GREEN MICE」のサービス開始に至るまで、JCDとのパートナーシップをどのように築かれたのでしょう?

井上
実は当初はJCDの電力小売事業のパートナーとして(一社)長野県観光機構さんと協業できないかというご提案のために訪問させていただいたんです。その際に弊社の「CO2ゼロ MICE®︎」のご紹介もさせていただいたところ、大変関心を示していただきました。

佐藤
そう、本題ではなく「最後に別件ですが・・・」という感じでご紹介いただいた「CO2ゼロ MICE®︎」に、私と岩本が食いつくという、ちょっとドラマチックな展開で始まったんです。ほぼ即決に近い形でした。長野のMICEはこれをやっていくんだ!と。

― 即決の決め手はなんだったのでしょうか?

佐藤
元々私たちは長野県の観光振興を推進する立場として、行政から言われた事業だけをやるのではなく、自主事業をきちんとやっていくべきだという課題を強く持っていた事が大きいです。また、すぐに決断することでJCDさんのOEM提供の最初の事例となり、全国に先駆けた取り組みとして実施できると考えたことです。やるならば一番手になりたいと思いました。
また、もうひとつの決め手として、非常に取り組みやすい施策であるという点を評価しました。システムは全てJCDさんからご提供いただけるので、初期投資がほとんどかかりません。このことは我々だけでなく、参画いただく施設にとっても大きな利点です。ゼロカーボンに向けた非常に具体的な取り組みでありながら、開始するハードルが極めて低かったところも、即決の理由といえると思います。

― なぜJCDは、数ある地域のDMOの中で、(一社)長野県観光機構に「CO2ゼロ MICE®︎」を提案したのでしょう?

井上
長野県といえば昨今、インバウンドの人気エリアとしても注目されていて、自然環境が非常に豊かで「日本のスイス」とも言われていることや、持続可能な脱炭素社会の実現に向け「長野県ゼロカーボン戦略」を県内全域で取り組んでいることから、(一社)長野県観光機構さんと協業して、観光分野からゼロカーボンの取り組みを広げ、「観光×ゼロカーボン」をテーマとした地域づくりをしていければと考えていました。その第一歩が長野県内で開催されるあらゆるMICEのゼロカーボン化でした。

― (一社)長野県観光機構としての、今後の「NAGANO GREEN MICE」の展望とメッセージをお聞かせいただけますでしょうか。

岩本
ゼロカーボンという目標は、もはや世界的に一丸となって取り組むべき課題となっていると考えます。長野県はその達成のサポートにいち早く取り組んでおり、「NAGANO GREEN MICE」はその象徴的活動の1つでもあります。その意味でもこれから一層、このサービスの認知を広げていきます。さらに願わくば皆様の取り組みの第一歩をぜひ長野県で、と思っています。

佐藤
「NAGANO GREEN MICE」は、あくまでもMICE実施において環境負荷を減らしていただくためのいわばオプションサービスであり、やはり私が本来皆様に知っていただきたいのは長野県でMICEを行うこと自体の価値です。都心部のビルの中では味わえないMICEの体験が長野県ではできると確信しています。そういった開催地としての魅力が十分にあることに加え、各々が掲げるサステナビリティへの目標達成に貢献できる「NAGANO GREEN MICE」をご用意しています。是非MICE開催地に長野県を選んでいただければ幸いです。

井上
目標は、長野県内で開催されるすべてのMICEを「NAGANO GREEN MICE」にできたらと思っています。(一社)長野県観光機構さんと二人三脚でこの目標を成し遂げたいと思います。そして、先進事例として長野県のブランド認知がより一層高まり、多くのMICEが誘致・開催され、多くの人々に訪れていただけることを願っています。

また、この長野県の事例をモデルとし、全国各地でCO2ゼロ MICE®︎のOEMスキームを活用した「観光×ゼロカーボン」の取り組みを広げていきたいと考えています。

長野の風景

3 事業活動×企業活動の全社的取り組みでサステナビリティに貢献するJCD

JCDのサステナビリティへの取り組みは「CO2ゼロ MICE®︎」のOEM供給の事例のように、事業活動を通じたものだけでなく、自社自身の企業活動を通じたサステナビリティへの貢献も両輪で取り組んでいます。そんな全社的なサステナビリティ貢献を牽引する小林正太郎氏にもお話を伺いました。

小林正太郎株式会社JTBコミュニケーションデザイン 
総合企画部 サステナビリティ推進局局長
小林正太郎

1995年(株)JTBに入社。官公庁や企業営業、本社勤務等を経て2018年よりJCDに着任し、スポーツビジネスや新規事業開発の推進を担当。今年度から社のSDGsへの取り組みを加速させるために創設されたサステナビリティ推進局に着任。愛車は95年式のランクル80。エコじゃないので手放そうかと思案中。
※社名・肩書きは2022年10月時点のものです。

― サステナビリティ推進局は、どのようなことをされている部門ですか?

小林
部門名の通りにはなってしまいますが、全社のサステナビリティの推進がミッションです。これからは企業がサービスを提供する上で、機能や価格など従来重視された価値だけではお客様から選ばれなくなる社会になってきています。我々の提供するサービスや自社の活動が、環境や人権、ダイバーシティなど社会課題の解決につながっていることが求められますので、そのために方針や施策を定めて具体的な取り組みに落としこみ推進しています。

JCDのサステナビリティビジョン
「人」と「企業」と「地域」とをつなぐ「最適なコミュニケーション」を、
お客様や事業パートナーと共創し、持続的でよりよい社会の実現に貢献します。

― 小林さんの立場から見て「NAGANO GREEN MICE」の事例はどのような印象でしょうか?

小林
JCDにとって非常にシンボリックな取り組みだと感じています。
JCDはモノを作るメーカーではないので、社会により良いインパクトを出すためには、地域やパートナーとの連携によって取り組みをスケールさせていくことが大切と考えています。その点において「NAGANO GREEN MICE」の事例は、地域の観光産業とも密着し、多くのステークホルダーを巻き込んだ取り組みであり、パートナーシップの強化にも一役買っているコミュニケーション事業なので、JCDらしいモデルだと思います。シンボリックと申したのはそうした意味からです。

― JCDがサステナビリティの推進において他社より先駆けている要素はありますか?

小林
当社よりも先進的にサステナビリティに取り組んでいる企業はいくらでもあると思います。ただ、そこは他社との比較ではなくて、あくまで自社の取り組みを正しく進められているかが重要だと思っています。

― 業界内の他社の取り組みなども、あまり意識されないということでしょうか?

小林
いいえ、サステナビリティの実現は1社だけの力でできることではありませんから、そこはむしろ業界を挙げて推進していく必要があると考えています。もちろんその点において、業界を牽引する立場ではありたいとは思います。その結果としてたとえば競合先であっても、我々の活動や事例を参考に自分たちも取り組まなければいけないなと思ってくれた企業がいたとすれば、それは我々にとっても望ましいことです。

一方で、今回の「NAGANO GREEN MICE」の事例もそうですが、我々独自のソリューションを開発していくということには今後も積極的に取り組んでいきたいと考えています。他社との差別化を意識するとしたら、そういったソリューション開発の部分かもしれません。

― 最後に読者の方に向けてメッセージをお願いします!

小林
JCDとしては、今回事例として紹介のあったMICE事業だけでなく、プロモーション領域やHR(ヒューマンリソース)領域などでもこれから事業活動×企業活動の両面でサステナビリティ貢献を進めてまいります。
これからSDGsを本格的に取り組んでいきたい企業様に向けて、私たちJCDが提供できる知見やリソースもあるはずですので、ぜひご一緒にサステナビリティ推進に取り組むことができましたら幸いです。

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