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JCD NOW!

JTBコミュニケーションデザインの様々な取り組みをご紹介します。

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【拠点発の交流創造×SDGs】公共運営のカフェで地域に貢献したい 想いから広がる地域の輪

運営施設を交流拠点と捉えるJCDが探る
「地域貢献」の新しいカタチ

JTBコミュニケーションデザイン(JCD) エリアマネジメント部では、「地域とかかわる人々のいまと未来を豊かに」をミッションに、事業を推進しています。
地域の公共文化施設・芸術施設・スポーツ施設などを「交流拠点」とする施設運営プロデュース・運営管理をおこなっています。ひとつひとつの地域に寄り添い、にぎわいと経済活動を生むことを目指し、施設プロデュース・施設運営管理のプロフェッショナルとして地域の持続的な活性を推進しています。
今回は、JCDが長年にわたり公共施設の運営と地域交流のお手伝いをしてきた西東京市の事例について、エリアマネジメント部の芦田がご紹介します。

JCDは西東京市の中心部にある保谷こもれびホールの指定管理者として22年度まで10年間運営に携わってきました。662席のホールがメインなので、文化芸術の観点から、西東京市の打ち出している「子ども・ど真ん中」という子育て支援政策に沿って、ホール公演等を企画してきました。しかし、コロナ渦でホール公演が難しくなったことを機に、これまで以上に公共施設として地域の課題解決に繋がる取り組みは何かできないか、検討を重ねてきました。そのなかで、スタッフから上がったのは、「ホール併設のカフェを拠点に、公共運営のカフェだからこその取り組みで地域に貢献したい」という声でした。

こども食堂を中心に広がる地域の輪

西東京市内では、NPOなどによって約20ヶ所のこども食堂が開設されています。個人宅を開放して実施しているところも多いのですが、幼稚園のお遊戯会や小学校の鑑賞教室など子どもたちが1度は訪れたことのある公共文化施設での実施は、利用者が多く見込まれるのではないかという狙いもありました。
市内のこども食堂を視察したり、市の子供家庭支援センターなど関係団体と連携をとったりしながら準備を進め、第1回が開催できたのは2022年6月のこと。あまり告知期間をとれなかったにもかかわらず初回は約50名が参加しました。

こども食堂のようす
こども食堂のようす

その後、ホールとして関わりのある市内のアーティストや団体と連携し、こども食堂開催日に合わせてワークショップやコンサートを開催。口コミで広がり、現在は毎回100名以上の方にご参加いただいています。
公共施設による運営の信頼性・安心感により、さらにその輪は広がりを見せ、こども食堂の運営には、社会福祉協議会、市の民生委員、近隣大学の学生、地域のお店などさまざまな方が協力してくださっています。

地域のお店からは「SDGsに取り組んでみたかったが何をしていいかわからなかったので、良い機会になった」という声や、アーティストの方からは「発表の場が増えてうれしい」という声も届いています。

貧困家庭の支援だけではなく、普段は仕事で忙しい両親とゆっくり食事をとる機会になっていたり、ボランティアで来た大学生と子どもの交流の機会になっていたりと、こども食堂をハブにして、地域の輪が広がってきていることを実感しています。公共施設が運営するカフェだからこそ実現できた取り組みであり、地域に貢献することの意義を感じながらスタッフも現場で関わっています。

メニューの一部
メニューの一部

そして、ホールとしてもうれしい変化が来館者層の若返りです。どこの公共施設でも全年代層に気軽に訪れてほしいとのご要望はよく耳にするのですが、こども食堂を機に若年層の来館が増えました。公演の有無に関わらず、ふらっと立ち寄ってくださったり、こども食堂の開催日以外もカフェを訪れてくださったりする家族連れの姿が見られます。公共施設とは、誰にでも開かれた身近な施設であるということを、地域の方々に感じていただくきっかけになったと思います。

コロナ禍を経て「子どもが安心して過ごせる居場所を作ってあげたい」というご家族や行政の声が急増しました。その声に応える意味でも、こども食堂をきっかけに「こもれびホールに行けば顔見知りの人に会える、安心して過ごせる」という居場所作りにつなげていければと考えています。 

体験する親子
体験する親子

認知症の当事者やご家族の憩いの場となる「オレンジカフェ」

オレンジカフェとは、認知症の当事者やご家族、医療や介護の専門職、地域住
民など、誰でも気軽に参加できる「交流の場」です。認知症ケア先進国であるオランダから始まり、日本でも全国的に設置の動きが進んでいます。

こもれびホールでは、「こども食堂」開設後、「年配層向けの企画もやってほしい」との利用者の声を受け、通常のホール運営では接点の少ない社会福祉協議会、地域支援包括センターとも連携し検討を進めることになりました。
平日の午後に、お茶とお菓子を提供するスタイルで、2022年11月に第1回目を開催し、認知症の当事者やご家族、一般の方も含め17名のご参加からスタートし、4ヶ月で計5回のべ82名のご参加をいただいています。

認知症の方の話を傾聴するのには、一定のスキルが必要なため、市の「認知症サポーター養成講座」を受講したサポーターさんや社会福祉協議会、地域支援包括センターのスタッフが傾聴ボランティアをしてくださっています。1対1で話を聞くのが基本スタイルですが、ボランティアの方相手に楽しそうにリラックスした参加者の姿が印象的です。

イメージ図

認知症を患うと自宅に引きこもってしまう方も少なくないのですが、オレンジカフェの存在は当事者にとってはいい気分転換の場に、ご家族にとっては悩みを共有したり相談したりできる場になっていることを感じています。
こちらでも、地元の演芸クラブとの連携で「落語」や「マジック」などの催しを企画したり、子供たちと折り紙で交流する機会を設けたり、社会福祉法人や知的障害者小規模作業所のお菓子の提供をしたり、と地域交流の機会創出にもつなげています。

本当の意味で「誰にでも開かれた公共施設」を目指すために

JCDでは他にもダイバーシティへの取り組みを行っています。
例えば、聴覚障害者でもコンサートを楽しめるような機器を実験的に導入し体験いただいたのもその1つです。導入により、障害者団体や支援団体とのつながりが生まれました。

他にも、寄贈ピアノを自由に弾けるように開放した「だれでもピアノ」、フリースペースを開放して勉強や読書ができるようにした「自習室」、西東京市在住の外国人の方を講師役に迎え、他国の文化について学ぶ「多文化サロン」など、さまざまな施策を通して「誰にでも開かれた施設」のあり方を模索しています。

「共生」「共創」という言葉がよく聞かれるようになりましたが、現実的にはまだまだ「分断」が生じています。企画する側としても「みんなが一緒に楽しめるもの」を作り上げるのは難しいものです。しかし、大人も子どもも、健常者も障害者も同じものを見て同じ体験ができるのが、理想の公共施設のあり方だと考えています。今後も、「人と場所で生まれる交流」というビジョンにマッチする取り組みをしていきたいと考えています。

芦田 文

JCDが施設運営に留まらず、施設を拠点に「地域」を意識する理由

公共施設の運営には、常に「公平性」「平等性」が求められますが、条例にしばられすぎるがあまり、できることが限られてしまっている自治体もあります。
こもれびホールでの「こども食堂」や「オレンジカフェ」は、JCDのスタッフが長年にわたって地域に溶け込み、行政や地域の方々の理解を得られたからこそ、実現した取り組みです。行政の縦割りになりがちな各セクションをつなげられるのも、JCDだからできることだと考えています。

指定管理者として施設を運営するだけでなく、エリアの交流拠点として捉え地域フィールドまで拡げた活動するのはJCDならではの特徴です。地道な取り組みが少しずつ実を結び、地域団体や民間施設、行政の別部署との連携等、施設をハブとしてつながり始めつつあります。

JTBコミュニケーションデザインは、今後の公共施設の在り方と真摯に向き合い、ご担当者様と共に公共施設を中心とした地域活性化に取り組んでまいります。お問い合わせをお待ちしております。

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