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ハイブリッド型バーチャル株主総会

株主との新しいコミュニケーションのあり方を探る

昨今のコロナ禍により、急速に需要が高まり、企業からも高い関心を集めている「ハイブリッド型バーチャル株主総会」。「ハイブリッド型バーチャル株主総会」とは、「取締役や株主等が一堂に会する物理的な場所で株主総会(リアル株主総会)を開催する一方で、リアル株主総会の場に在所しない株主がインターネット等の手段を用いて遠隔地から参加/出席することができる株主総会(経済産業省サイトより)」です。2020年2月に経済産業省により「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」が策定されたことで普及の度合いを高めている新しい時代の株主総会について、JCDにおいて株主総会の企画・運営を数多く手がけてきたミーティング&コンベンション事業部の石田が語ります。

新型コロナ禍で加速。株主総会もハイブリッドへ。

これまでB to Bのコミュニケーションイベントを数多く手がけてきました。その中でも株主総会に直接関わったのは、今から13年前くらいからでしょうか。製薬会社や建設会社、電気機器、情報通信、光学機器、繊維メーカーなど、幅広い業界の株主総会を企画・運営してきました。規模としても会社の会議室で行われる小規模なものから、武道館クラス2,000名といった大規模なものまで様々です。

1990年代以降、株主総会は「開かれた総会」として、企業と株主が対話する場として位置づけられてきました。私が担当している企業様の株主総会で実際にあった出来事なのですが、その会社の商品やサービスのユーザーである株主たちが、総会の場で直接企業に感謝の思いを語る場面に立ち会ったことがありました。実際に企業と株主が直にコミュニケーションをとった現場を目の当たりにして、それがとても強く印象に残っています。

昨年までの株主総会実施の様子
昨年までの株主総会実施の様子

株主総会は単に無事滞りなく終えることだけが目的ではなく、株主との重要なコミュニケーションの場であり企業がブランディング活用できる機会ととらえ、ホスピタリティのある運営方法や会場選定、展示コーナーの設置など、これまでも様々な工夫を凝らしてきました。私たちイベントプロデューサーとしての役割は、株主総会を運営する社員の皆さんが、安心してスムーズに運営を行えるようにサポートしていくことに他なりません。
今年は新型コロナウイルスの影響で、株主総会のカタチも大きく変わりました。多くの企業が感染を防ぐために会場に入場できる人を制限したり、開催時間そのものを短縮したりするなど対策をとったわけです。本来「開かれた株主総会」であったものが、ここにきて株主に「できるだけ会場に来ないでください」などとアナウンスするような事態にもなってしまいました。とはいっても当然株主は、株主総会に参加する権利があるわけですから、なんらかの代替手段を考えなければなりません。そこで登場したのが「ハイブリッド型バーチャル株主総会」というわけです。

石田 晶子

ハイブリッド型バーチャル株主総会とは

経済産業省による「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」では、株主総会は「リアル株主総会」「ハイブリッド型バーチャル総会(参加型・出席型)」「バーチャルオンリー株主総会」に分けられます。現時点での日本の法律では、バーチャルオンリー型の株主総会は認められていません。そこで今、リアルで開催する株主総会に来場できなかった株主に映像配信して参加あるいは出席を促す「ハイブリッド型バーチャル株主総会」が注目をされているのです。その中で、配信された画像を株主がただ視聴するだけなら参加型、オンラインでインタラクティブに議決権の行使ができるタイプならば出席型と区別しています。

ハイブリッド型バーチャル株主総会とは

どの企業様も、今年初めて「ハイブリッド型バーチャル株主総会」を採用されたところがほとんどです。いずれも初の試みとなるわけで、準備期間も長い時間をかけることができません。そこで私たちは不安感を払拭するために、できるだけ企業の担当者と密にコミュニケーションをとるよう心がけました。それこそ短期間に何度もミーティングを重ねることで、ひとつひとつ問題点や疑問点などを洗い出して、解決していく。そうすることで信頼感を得られるよう努めてきたのです。

ご提案したある企業様には、実際に事前に配信用の機材を持ち込み、テスト配信などのリハーサルを入念に行いました。企業として一番気になさる点は、やはり情報漏洩です。株主ではない第三者がハイブリッド型バーチャル株主総会を視聴されないか、突発的に起こるトラブルにどのように対応していくのかといった点は気がかりになる点です。ですから私たちは間違いなく配信システムが機能するようにコントロールしなければなりません。こうした株主総会で起こる様々な問題点も、私たちはリアル株主総会で培ってきた経験や、ほかのイベントで活用してきた配信ノウハウを活用し、対応させていただいています。

ハイブリッド型バーチャル株主総会のメリット

私が担当しているクライアントは東京に本社を構える企業様が多いので、これまで株主総会も東京で開催してきました。でも株主は、それこそ全国・全世界にいらっしゃいます。今回「ハイブリッド型バーチャル株主総会」を実施したことで、今まで物理的・距離的な問題で株主総会に参加できなかった株主が、オンラインで映像配信による株主総会を案内されたことで、初めて株主総会に触れることができたという声が少なからずありました。遠方や海外在住の株主が株主総会に参加できる機会が拡大される。この点は「ハイブリッド型バーチャル株主総会」の大きなメリットだと思います。企業サイドから見てみると、株主総会に参加・閲覧する方法が多様化したことで、株主重視の姿勢や透明性をアピールできることや、情報開示の充実度が飛躍的に高まることがメリットになります。

「ハイブリッド型バーチャル株主総会」実施事例

長年おつきあいいただいているクライアントの製薬会社さんでは、毎年6月に株主総会が開かれます。例年その年の3月頃から本格的な準備をしていますが、今年はその頃にコロナウイルスの影響が出始めていましたから、リアル株主総会の準備と同時並行でオンラインによる株主総会の提案をしていました。その後のコロナ禍の社会的な影響や深刻さは周知の通りです。

こちらのクライアントは株主総会を株主との接点として大変重要視されています。例年参加される株主の方々は高齢者が多く、感染対策にも細心の注意を払わなければなりませんし、なにより会場でクラスターを起こさないようにしないといけません。6月開催の株主総会では来場者抑制のため事前に議決権の行使を招集通知へ記載したことにより、来場者が前年比4.6%に減少したものの、個人株主の議決権行使率はそれと反比例して上昇しました。

リアル開催の会場の座席配置は、密を避けるように2m間隔で座席を配置。昨年1,500席用意していたものを、今年は300席に減らしました。

株主総会実施会場の様子
株主総会実施会場の様子

当日会場では、検温器(サーモグラフィー)の設置や検温室、隔離室を用意。ソーシャルディスタンスに対応した会場レイアウトや消毒液の設置、スタッフによる誘導や声がけ、混雑対策など、普段の株主総会運営にコロナ対策として新たな準備をしました。幸い来場者で37.5℃以上の方はおらず、万一のために準備した再測定エリアやモニター設置の隔離室を使用することもありませんでした。

受付の様子
受付の様子

ステージ上の議事支援席も密を避け、一部の支援メンバーをステージに残し、他のメンバーはステージ裏手に用意したスペースにて議事支援業務を行っていただきました。ステージに登壇されている役員の表情がわかるよう、複数台のモニターを設置したり、ステージ裏の議事支援席近くでは、株主席から見えることがない位置に、薄手のカーテンを設置し壇上の様子を目視で確認できるよう工夫しました。結果的により手厚く、適切な答弁のサポートができたとクライアント様からも評価をいただくことができました。

さらにオンラインでライブ配信できるよう専用回線の手配や配信リハーサル、機材手配、現場オペレーションなど、トラブルを起こさないようテストを重ねました。インターネット環境に不慣れな方でもわかりやすくアクセスができるよう、テクニカルサポート事務局を設置し、電話にて専門スタッフが視聴できるように丁寧にサポートさせていただきました。また視聴についても、十分な環境をお約束する為に800回線を準備し、当日に備えました。

企業と株主とのよりよいコミュニケーションを目指して

今年お手伝いした「ハイブリッド型バーチャル株主総会」は参加型での実施でしたが、JTBコミュニケーションデザインでは、出席型のハイブリッド型バーチャル株主総会についてもお客様のご要望される実施方法が実現できるよう準備・検討を進めています。

「ハイブリッド型バーチャル株主総会」配信映像イメージ
「ハイブリッド型バーチャル株主総会」配信映像イメージ

「ハイブリッド型バーチャル株主総会」は今年から多くの企業が実施しましたが、従来のリアル株主総会の実施を選択される企業もありましたし、当社としても今年もリアルな株主総会の運営もお手伝いしました。今年からの株主総会では、それぞれの企業の特徴や、どういった株主とのコミュニケーションを目指しているのかによって、株主総会実施方式の選択肢が増えたと捉えることもできます。

「ハイブリッド型バーチャル株主総会」も、まだ確立されたものではなく、どの企業も手探りで始めたばかりです。何をするのが正解かは、まだ誰にもわかりません。今後もそれぞれのクライアント様の状況を深く理解しながら、ともに株主とのよりよいコミュニケーションを目指し、解決方法を探ることのできるパートナーとなれるよう努めていきます。

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