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GA4時代突入! WEBアクセス解析ツールは旅行業界をどう変える?

「AIアナリストforツーリズム」導入事例に学ぶ
今日から始めるWebサイト改善

JTBコミュニケーションデザインは、2020年10月から株式会社WACULの「AIアナリスト」を基にしたデジタルマーケティング分析ツールを、JCDが持つ観光ノウハウと組み合わせて「AIアナリストforツーリズム(AIT)」として提供しています。2023年7月1日には「GA4」への移行に対応した最新版もリリースされました。AITは旅行業界に特化し、専門知識がない人にも使いやすいツールとして注目されています。今回は最新版AITの導入事例や、2名の社員の取り組みを通じて、AITが旅行業界にもたらす変革について紹介します。

  1. 旅行業界の切実な声から生まれた「AIT」とは
  2. コンバージョンが異なる2社の事例から紐解く
  3. AITを通じてJCDが目指す世界観

1 旅行業界の切実な声から生まれた「AIT」とは

―AITはお客様の声から誕生したと伺いました。開発の経緯からお聞かせください。

有吉
旅行業界をはじめとするサービス業は、よく「デジタル化が遅れている」と言われているんですね。私自身は必ずしもそのようには考えませんが、一方でデジタルシフトに対応した企業・自治体とそうでないところの間に「格差」が生じていると感じています。

特に観光施設や宿泊施設は中規模法人が多いこともあり、専任のWebマーケターが在籍していることは珍しく、他に複数の業務を抱えながらWeb運営も兼任されている担当者様がほとんどです。目の前の業務に追われるなか「Googleアナリティクスの勉強もしてください」とお願いしたところで無理があります。さらにGoogleアナリティクスの最新版である「GA4(Googleアナリティクス 4プロパティの略称)」は仕様変更に伴い取得できるデータや操作画面が大きく変わり、「従来版より難易度が高い」といった声も聞かれています。実際、独学で学ぶには少々ハードルが高くなってしまったと思います。とはいえ、使いこなせないからといってそのままWebサイト解析を放置していては、格差は広がる一方です。

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福富
旅の情報収集やチケットの購入、宿泊予約をオンライン上で完結することが主流となった今、企業や自治体の規模に関わらず、デジタルマーケティングの強化は不可欠と考えられます。そのような中、AITは旅行業界に携わる誰もが使いやすい業界特化型のWeb解析ツールとして開発されました。

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―ツールを使用して自社でWeb解析を運用することにこだわらずとも、専門のコンサルティング業者に一任してしまえばよいのではないでしょうか?

有吉
もちろんそれでうまくいくケースもあると思います。ただ、自社で知識やツールを持たないまま外部に丸投げしてしまうと、コンサルタントの言っていることが正しいのか判断することができません。実際に「費用をかけ続けているが、理解が追いつかないため改善が進まない」といった声も多くお聞きします。

そのような状況のなかで私たちは、かねてから旅行業界全体のデジタルリテラシーの底上げを図る必要があると考えていました。JCDには長年培ってきた知見やノウハウがあり、なんとかお役に立てないだろうかと。そのような時に以前からご縁があったIT企業のWACULさんと共同で、旅行業界向けの独自機能を揃えたAITを開発し、リリースする運びとなったのです。

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Google社のデジタルマーケティングと
JCDのツーリズム領域、総合プロモーションノウハウと
GAをAI化したWACULの「AIアナリスト」を掛け合わせたのがAIT

―AITを採用するメリットとGA4対応版に追加された機能とは?

福富
デジタル解析自体はGA4単体でもできるわけですが、「旅行業界が見るべき指標」を絞り込んで見るには手間とコツが必要です。それを解決すべく、AITでは、あらかじめ、旅行業界に必要なデータを絞ったレポートが用意されており、自動的にグラフ化されるので、専門知識がなくてもすぐに直感的に理解でき、活用することができます。

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有吉
例えば「ユーザーファネル分析」というAITの独自機能では、Webサイト訪問者の態度変容を可視化して示すことができます。これにより、サイトやコンテンツを「認知」していただくことから、関心・興味の度合いを可視化することで最終的に目指したいコンバージョン(サイト上で目的とするユーザー側のアクション)への到達数や率を追うことができます。この機能はAITの特長であり、メリットといえます。

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また、GA4対応版より「サイト提案」という新機能も加わりました。Webサイトを類型化し各サイトの目的に沿ってサイトに必要な要素が作られているかスコア診断する機能で、例えばファーストビューに設置すべき要素やサイト内回遊導線の設置など、どこにどんな課題があるかを即座に見つけることができ、改善ポイントの特定にお役立ていただけます。

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福富
数値動向を可視化する「サイトレポート」という機能は、GA4の難解な使い方を習得せずとも、いつ・どのような流入元からの訪問やコンバージョンを獲得できたかなどを分かりやすくグラフ化し、各流入元の数値を比較しながら、広告施策の効果など俯瞰的に分析することが可能となりました。GA4の使い方に苦労せずに、重要な情報を視覚的に把握できるメリットがあります。

有吉
従来のGoogleアナリティクスに比べGA4はデータの保持期間が短くなったという点はあまり知られていないかもしれません。以前のバージョンではデータ保存期間が最大で50ヶ月なのに対し、GA4は14ヶ月までの保存に短縮されます。しかし、AITと連携することにより、保存期間が延長され、経年単位での季節波動の比較分析レポートやコンサルによる過去分析からの改善策などのサポートも得られることがAIT導入のメリットともいえるでしょう。

福富
AITによる自走のメリットは前述の通りなのですが、最初は正しく活用できているか運用に不安を感じることもあるでしょう。その場合、慣れるまではJCDが伴走型でサポートをさせていただき、ゆくゆくは自走できるところまでお手伝いさせていただくケースもあります。大切なのはツールに精通することではなく、あくまでWebサイトの目的に応じて具体的にどう改善していくかを見極めることです。そしてツールの提供だけではなく、共にゴールを見据え、目的達成に寄与するのが我々の役目だと考えています。

2 コンバージョンが異なる2社の事例から紐解く

―実際に、AITを導入されているお客様事例をご紹介ください。

有吉
スキーリゾートのガーラ湯沢様の事例をご紹介します。ガーラ湯沢様のお悩みは、Webサイトの運用・分析ができる人材が社内にいないことでした。安定経営を目指すために定期的なジョブローテーションをされていたことがその理由でした。また、担当者様はそれぞれ複数の業務を抱えており、じっくりとWeb解析に取り組む余裕がなかったとも伺っています。こうした状況下で、次シーズンに向けたサイト改善計画を適切に進めることが難しかったそうです。

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また、MTGを重ねる中でガーラ湯沢様からの課題として、リフト券の事前販売の促進に取り組みたいことを伺いました。

早速、AITで事前販売に着目したアクセス解析を行ったところWebサイトへの訪問者数は多いものの、サイト内でのリフト券の事前購入に結びついていないことがわかりました。さらにサイト上でのお客様の行動動線を分析したところ、次のページに進むためのボタンの配置に問題があることが判明しました。お客様が目にする位置に、ボタンを移動させたところ遷移率が向上し、事前にリフト券を購入するお客様が増加する結果が得られました。

そして、「AITの導入によりデータ解析の方法が理解でき、社員の負担が大きく軽減された」という喜びの声もいただいております。今後の新たな課題として、インバウンド施策を一層強化するため、現在5つの言語で展開されているWebサイトの改善についてご相談をいただきました。我々も協力し、段階的に改善を進めていきたいと考えております。

―自治体やDMO(観光地域づくり法人)では、AITはどのように活用されていますか?

福富
観光サイトの運営に悩まれていた「あまがさき観光局様」は、2020年からAITを導入させていただき、その後は自社のWebサイトのリニューアルも当社にお任せいただいております。

サイトリニューアル前のあまがさき観光局様はWebサイトの活用方法が不明確であるという課題を抱えていました。一般の企業であればお問い合わせや資料請求といった具体的なコンバージョンポイントが存在しますが、宿泊などの予約機能が外部の予約サイトにある場合も多く、お客様ごとに適切なコンバージョンポイントをどう設計するのかの定義づけが難しいケースがあります。

あまがさき観光局様のWebサイトの場合、尼崎の魅力を伝えて訪問を促進するという「誘致」の目的があります。具体的な商品や予約ボタンが存在しないため、どの部分にコンバージョンポイントを設定するかの検討から必要でした。そこでAITと当社のマーケティングのノウハウが適切だと判断していただけました。

有吉
AITの分析レポートを提供し、SNSからの流入情報を分析したり、補助情報としてSEO対策のアドバイスを行いながら、Webサイトの運用サポートを開始しました。

福富
AITのレポートを通じて行う定例のレビューミーティングで、ご担当者様と対話を重ねるなかで、頂戴する質問の内容が SEO 的なお話など、サイトの質向上に向けた発展的な話題を中心に議論がシフトしてきており、ポジティブな内容でPDCA サイクルが回り始めたと実感しています。このことから当社の寄り添い方も間違っていなかったのかなと思っております。

ゆくゆくはサポートなしでサイト運用していただけるくらいのリテラシーをもっていただくことが当社の目標の一つです。直近では広告プロモーションもお任せいただいており、成果の最大化に向けてお客様と二人三脚で取り組んでいるところです。

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3 AITを通じてJCDが目指す世界観とは

―導入実績を重ねて見えてきた次なる課題や今後の展望などをお聞かせください。

有吉
近年は一般企業から官公庁までデジタルトランスフォーメーション(DX)が推進されています。このような中で、旅行業界はDXが遅れているとされがちですが、我々はAITというツールを通じて旅行業界に貢献できると信じています。我々の目標は、AITを積極的に活用していただき、デジタル化によるメリットを享受していただくことです。その働きかけを行うのも、JCDの果たすべき使命だと思っています。

福富
 "エコシステム"ではありませんが、デジタルの力を活用して各地の観光資産をよりシームレスに繋ぎ、業界全体を連携して盛り上げていくことを目指しています。Webアクセス解析ツールは世の中に少なからず存在しますが、AITは旅行業界に特化し、徹底してわかりやすさにこだわって開発されたツールだと自負しています。サイト運営はデータとエビデンスに基づいて推進されるべきであり、それらを如何に読み解き活用するのかというノウハウを、このツールを通じて多くの人々にお伝えし、業界のデジタルリテラシー向上に貢献したいと考えています。

有吉
デジタルマーケティングと聞くと、数字の変動に一喜一憂している世界のように見えるかもしれません。しかし本質はそこではないと私は考えています。もちろん数字が改善されることは喜ばしいことですが、忘れてはならないのは、データの向こうには人間が存在し、数字の変化のひとつ一つは人間の行動や感情が反映されたものだということです。旅行の予約を完了する時、その人がどれだけワクワクした気持ちでボタンをクリックしたのか。何か不安を感じることはなかっただろうか。そうしたことに想いを馳せるのが、アクセス解析の本質であり、醍醐味ではないでしょうか。主人公は数字ではなく、あくまでも人間です。そのような想いも、私たちのツールやサービスを通じて市場に伝え広げていきたいと考えています。

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