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JCD NOW!

JTBコミュニケーションデザインの様々な取り組みをご紹介します。

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AIの力で観光・ツーリズム業界全体を活性化したい

JCD×WACULが考える観光・ツーリズム業界のデジタルマーケティング

コロナ禍で苦境に立っている観光・ツーリズム業界を、デジタルの活用で元気にしていきたい。JTBコミュニケーションデザイン(以下JCD)は、新たな取り組みとして33,000サイト超の導入実績があるAIアナリストをベースにWACUL社と共同で「AIアナリストforツーリズム(以下AIT)」を開発・リリースしました。この観光・ツーリズムに特化したAIによるWEBサイトの分析・改善ツールの開発に携わった、プロモーション事業部 デジタルマーケティング室の直井・千葉と、WACUL社の平山氏が、DX(デジタルトランスフォーメーション)を見据えた観光・ツーリズム業界の取り組みを語ります。

特別なデジタルの知識や
技術がなくても利用できるものに

千葉
デジタルを活用したプロモーションは観光・ツーリズム業界でも大きく伸びていますが、最新テクノロジーへの対応やデジタル人材の不足などにより、WEBサイトの運用、集客施策の管理が課題となっています。

直井
特にGoogle Analytics(以下GA)などの解析ツールを活用するには一定のスキルが必要となり、その対応に悩む企業や団体、自治体も増加傾向にあります。また、コロナの影響で今までの旅のスタイルや集客方法も変化し、より効率的かつ効果的なマーケティングを行う必要性が求められているのが現状です。私は2002年からデジタルマーケティングに携わっていますが、いろいろな案件に関わっていくなかで、AIアナリストの存在に以前から注目していました。

平山
GA はWEBサイトに流入したユーザーの行動ログを蓄積するものですが、AIアナリストはそれと連携するツールになります。データのログをたくさん残すことができるGAですが、膨大な量になってしまって、初心者の方がこれを理解するのはなかなか難しいんですね。それらの情報をAIアナリストと連携することで、わかりやすく分析することができます。さらにこのWEBサイトの課題はここですよとか、こういうふうにしたら良いなど、改善提案までができるのがAIアナリストの特徴ですね。

直井
そうなんです。それにとても魅力を感じていて。JCDとして観光・ツーリズムのクライアントに寄り添えるソリューションを検討する中で、是非ご一緒できればと思ったのがきっかけでした。AIアナリストは、人工知能で予測数値を出してくれるもので、こんな改善をすればこれだけ成約数が増える、というように具体的に示唆してくれるんです。例えば、宿泊件数やチケット購入数を増やしたり、海外からの来日人数を増やしたりするためにどうWEBサイトを改善すればいいか、必要以上の手間をかけずに可視化できるのは魅力ですよね。WACULさんとは元々お付き合いがあったこともあり、こちらからお声がけして、一緒に開発していただくことになりました。

平山
そうですね。ただ、いきなりすぐに開発というよりも、どんなものを作ればいいのか何度も話し合い、案件を進めていく中で、どういうものができるのかを探っていきましょうといってスタートした感じですよね。

千葉
このツールは弊社のWEB集客マーケティング・WEBサイト制作や分析の知見のあるメンバーや、実際に使ってみた方の意見なども取り入れて開発を進めました。いろいろな要望が飛び交い、ツール設計開発の際は、平山さんも大変だったのではないかと。

平山
私は観光プロモーションの専門家ではないので、どういう切り口でWEBサイトを見るべきなのかというのは、教えていただかないとわからなかったことなので、そこを咀嚼して要件に落とすのに、初めは苦労しました。
一般的なWEBサイトですと、分析の際に閲覧するユーザーの性別や年齢を重要視することはあまり多くありません。ただ、観光プロモーションとなりますと、ユーザーの属性やアクセスする地域というものが重要となり、そういう切り口は既存の解析システムにはあまりなかったのです。

直井
性別や年齢、言語、アクセスポイントなどを踏襲し、AIアナリストをより観光・ツーリズムに特化させて開発したものがAITです。GAのログ解析ツールは、導入するのも見るのも無料ですが、先ほど平山さんが言っていたように、どこから、何歳くらいの、何という言葉で、いつ見ているのかなどを調べるのは、すごく時間がかかるんですよね。

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"AIアナリストforツーリズム"だからできる
観光・ツーリズム特有の効果的な施策提案

千葉
AITの特徴は大きく2つ。
1つ目の特徴は観光デジタルプロモーションの効果をわかりやすく可視化してくれる点です。
例えばこちらは、とある観光コンテンツのWEBサイトのレポート画面ですが、ユーザーファネル画面では、ユーザーの態度変容が表示され、ユーザーがどこでつまずいているのかがわかり、プロモーションの改善に役立ちます。

レポート画面例① ユーザーファネル
レポート画面例① ユーザーファネル

地域パネル画面では、アクセス地域ごとの状況がリストとバブルチャートで可視化されます。バブルチャートを例にとると横軸は地域別訪問数の割合となり、東京や神奈川の次に大阪が高いことがわかります。また、縦軸はCVR(Conversion Rate)で、購入や申込みの達成割合となっています。

レポート画面例2 地域パネルバブルチャート
レポート画面例② 地域パネルバブルチャート

東京の方は、閲覧数は多いものの購入率は低く、岐阜の方は閲覧数が少ない中で購入率が高いことがわかります。このことから、例えば、岐阜でポスターを掲載する、観光紹介キャンペーンを実施するどのプロモーション展開をすれば、閲覧数が上げられるなど、WEB以外の施策も合わせて考えることもできます。オンラインだけにこだわらずオフラインも、デジタルもヒューマンも複合的に考えていけるといいですね。

また、性別、年齢ごとの指標もリストとバブルチャートで可視化できます。この図では、25〜34歳の女性の比率が高いことがわかります。ターゲットになりやすいペルソナ作り、実購入につながるターゲット選定と、こちらもオンライン・オフライン問わずマーケティング施策の一助になるデータを導くことができます。

もちろん集客・広告分析もでき、集客パネルではどの広告チャネルからの流入が多いのかまでわかります。また、流入キーワード分析ができるので、SEO対策などにも有効なんです。

レポート画面例3 集客パネル
レポート画面例③ 集客パネル

2つ目の特徴はAIが具体的な改善施策を提示してくれ、その根拠を論理的に説明してくれる点です。
例えば、CV(購入)率1.12%のページから、CV(購入)率の高いページへの誘導を強化するだけで、79.86%まで上がると教えてくれます。誘導強化というメッセージだけでなく、具体的な数値で示してくれるので説得力がありますね。誘導強化をどのようにすればいいのかわからなくても、テキストリンクをボタンに変更、ボタンの上にユーザーを誘導するテキストを配置などと指示してくれるので、WEB制作担当にも的確に伝えることができます。自社でWEBサイトを制作している場合は、参考例が図になっているので、それを見ながら改善することができるんです。

レポート画面例5 WEBサイト改善提案
レポート画面例④ WEBサイト改善提案

レポート画面例6 WEBサイト改善提案
レポート画面例⑤ WEBサイト改善提案

直井
これらの分析パネルはクライアントごとにカスタマイズができるのもポイントですよね。ページビューを上げるなど認知獲得を目的にすることが多い観光・ツーリズム市場のWEBサイトもあれば、購入や問合せへのリードナーチャリングをしたい法人向けのレジャー施設サービスサイトもあるでしょう。ECサイトの様に目標が「購買数」と明確であるWEBサイトとは違って、分析する指標が異なるケースも多いと思います。例えば、最近、動画を撮ったのでアップして動画の再生数を成約指標にしようとか、閲覧時間の長さをゴールにするならば5分以上を成約指標にしようなど、いろいろな設定ができるのもAITならではですね。

平山
目標の設定から実行、効果検証とその施策管理まで、PDCAサイクルが効率化できるのは大きなメリットですね。ちなみに当社のAIアナリストはたくさんのクライアントにご利用いただいており、直近では施策の成功率は73%。そのうち成果創出幅の1.5倍以上が65%となります。
AITで特にこだわったのは、見た目のわかりやすさですね。初めてWEBサイト分析や管理を担当する方や、デジタルに苦手意識のある方でも、簡単にできるならやってみようと思っていただけたら嬉しいです。

千葉
観光・ツーリズム業界は、コロナの影響もあり大変苦しい思いをされていると思います。一方でGoToキャンペーンなど動きも出てきています。生活様式が変わったことで今までの集客では限界があり、新しい手法での集客増が大きな課題となっています。しかし現場では、一体何から着手すればいいのかわからない、専門人材がいない、工数が割けない、という悩みがよく聞かれます。そんな方にぜひ使っていただきたいと思っています。

私はAITを、WEBサイトの健康診断をしてくれるツールだと思っているんです。健康診断であなたの身体の状況を知ろうというレポートの機能と、あなたに合わせた処方箋で改善提案してくれるという機能をもっています。AITを使って、まず自分を知ること。そして、自分の周りも知ること。自分たちがこうしたいということに、AIがアプローチしてくれるので、観光を強みとするJCDのノウハウやサポート力も活かしながら、一緒に実現できたらと思っています。

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プロモーションの幅を広げる
デジタルマーケティングの可能性

千葉
最近、AITを導入したある観光施設のお客様から「想像していた結果と違いました」との声をいただきました。ずっとシニア層からの関心が高い施設だと思っていたようなのですが、WEBサイトを分析してみると30代女性の閲覧数が多かったんです。確かに実際、チケットを購入する方は50〜60歳が多いのですが、事前に施設のWEBサイトを調べている方は30代前後の女性でした。お客様のターゲット層に対する認識が現実と違っていたことがわかったんですね。ファミリー層をターゲットとして、WEBサイトに「子供でも遊べる芝生があるよ」と記載すれば、もっと訪問数が増えるのでは?など、視点が切り替わるきっかけになったようです。分析結果やAIのアドバイスは、WEBサイトの改善だけでなく、施設のプロモーションや装飾、土産物の選定などのコンテンツ改善にも活かすことができるなど、新しい気づきが生まれ、デジタル以外の部分での効果にもつながる可能性があります。分析ツールはいろいろありますが、このAITは、観光・ツーリズム市場においてはオンリーワンのサービスだと自負しています。

直井
AITはまだファーストステージで、もっと情報を蓄積していきセカンド、サードステージへの展開を考えています。WEBサイトの健康診断となるツールは作ったので、今度は他とも比べられるようなものにしていきたいです。ツーリズム市場のなかでもっと普及され、業界の中での偏差値がわかるようなツールにしていけたらいいなと思っています。

平山
直井さんの仰る通り、業界平均や偏差値となるものが表示出来るようになれば、「観光プロモーションをする際は、このツールを導入しているのが普通」という環境になると思います。GAのような、観光プロモーションのスタンダードツールにしていけたら理想です。

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直井
また、今のデジタルの世界では、自分から探すのではなく、提供してもらうことも一般化し始めています。ショッピングサイトで、ユーザーが選ぶよりも前に商品をおすすめしてくれる機能があるように、ユーザーの趣味嗜好をキャッチし、デジタルを通じて観光地やスポット情報などを届け、訴求することで観光を促進していくこと。観光・ツーリズム市場でも、そういう仕組みがあっていいのではと思います。

平山
デジタルマーケティングは、今はまだ知識のある一部の方の専売特許のような扱いになっていますが、これからはより一般的になってテクニックも平準化されていくと思います。となると、次に勝負になるのはコンテンツであり、観光でしたら各地方の魅力の磨き上げが重要になってくるのではないでしょうか。また、デジタルを通じてのプロモーションは、例えばポスターなど日本国内にとどまっていたものが世界のどこにでも発信できるので、これからももっと大きく変わっていくと思います。プロモーションの自由度がさらに高まっていきますね。

直井
観光地をオンラインで見て、旅行気分を味わうのも今は普通になってきています。だからといって、その観光地の訪問客数が減ることはなく、かえって増えているんですね。バーチャルで見たあと、実際に訪れてちゃんと見たいというような気持ちになり、旅行への意欲につながっているようです。リアルが前提となる観光・ツーリズムであっても、こういうところにデジタルの役割はきちんと存在しているんですね。

千葉
新しいデジタルテクノロジーをもつWACULさんと一緒に組むことで、観光・ツーリズム業界に精通しているJCDの強みを活かし、今後も業界のデジタルマーケティングの推進に取り組んでいきます。そして、新たなビジネス機会の創出に貢献できればと思っています。

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201125-aianalyst-alalogo.jpg◆AIアナリストfor ツーリズム
https://www.jtbcom.co.jp/aiaft

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◆株式会社WACUL 会社概要
代表者   代表取締役CEO 大淵 亮平
設立    2010年
所在地   東京都千代田区神田小川町3-26-8 2F
事業内容  「AIアナリスト・シリーズ」などマーケティング&セールスの
      デジタルトランスフォーメーションを実現するプラットフォームの企画・開発及び販売
会社HP   https://wacul.co.jp/

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