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パラアスリート小池岳太が探る、これからの大型イベントの成功の秘訣 

世界の大型イベントを影で支える大事なパートナー、
ボランティアに迫る

大型イベントの成功の裏側は、ボランティア活動が大きく影響を与えているのをご存知でしょうか。
2021年に東京で行われた世界最大級のスポーツの祭典でも、ボランティアの方々が開催都市の「顔」として活躍し、大会の成功に大きく貢献しました。
今回はJCD所属パラアルペンスキー選手・小池が、 JCDで国際見本市・国際大会の運営に携わってきた鬼頭、ボランティア事業の運営に携わってきた白井とともに、それぞれの立場から考えるボランティア事業の潮流について語りました。

【座談会参加者】

株式会社JTB コミュニケーションデザイン
総合企画部 DX推進プロジェクト マーケティング課
小池岳太

株式会社JTB コミュニケーションデザイン
エリアマネジメント部 交流推進事業局 営業第二課 
鬼頭 淳一

株式会社JTB コミュニケーションデザイン
エリアマネジメント部 交流推進事業局 営業第二課
白井 八絵

※社名・肩書きは座談会開催(2022年7月)当時のものです。

  1. 異なるキャリアを歩んできた3名が考える、大型イベントの成功因子とは
  2. ボランティアのやりがいや喜びを演出するコーディネート力
  3. 大型イベント成功に向けたポイントとは
  4. 「支援」から「生きがい」へ。変化した参加者の意識
  5. 広がるボランティアの裾野。MICEの場でも活躍
  6. ボランティア事業のリーディングカンパニーを目指して

1 異なるキャリアを歩んできた3名が考える、大型イベントの成功因子とは

―まずはそれぞれの経歴と、これまでに携わってきた仕事について教えてください。

小池
かつての夢はJリーガーになることでしたが、大学1年の秋にバイク事故で首の頸椎を損傷。事故の後遺症で左手に麻痺が残り、夢が途絶えてしまいました。様々なことが思い通りにいかず、悶々とした気持ちを抱えていた頃、大学の恩師に「スキーでパラリンピックを目指さないか」と声をかけていただいたのがきっかけとなり、私とスキーとの関わりが始まりました。

JCDには2014年に入社し、スポーツアスリートとしての競技活動だけでなく、身体障害という「見た目の違い」は個人の意識の差であるということを、スポーツを通じて子どもたちへ伝えたく、小中学校向けの講演活動も行っています。

鬼頭
1988年から国際見本市や国際大会の運営に携わっていますが、2012年から4年間は中国に、その後4年間はシンガポールとタイに赴任していました。その間、上海万博の南太平洋15か国パビリオンの運営や、シンガポールで最大となる国際間周年事業の運営にも携わりました。2019年に日本へ帰任、当時東京では、世界最大級のスポーツの祭典が行われる目前。私は、今までのキャリアを活かして、主要駅や競技会場周辺で選手や来場者を案内するボランティアの方々の配置計画や運営業務を担当しました。大会終了後は、エリアマネジメントの新しい取り組みとして、地域に密着した事業開発にも携わっています。

白井
1993年にJTBに入社し、手配業務やパッケージツアーの販売に携わっていました。2017年からJCDに所属し、ボランティアに関連した事業を担当しています。営業だけでなくボランティアの方々のモチベーションを高く保つことが求められ、そこにやりがいと魅力を感じています。現在は、小中高生を対象としたユースボランティアサイトの運営や、観光ボランティア事業にも関わっています。

―パラリンピックに参加された当事者として、滞在中で特に印象深かったことは何ですか?

小池
これまで5ヶ国のパラリンピックに参加しましたが、開催国ごとにボランティアの方々の対応がまったく異なっていました。特に印象的だったのは、2010年に開催されたバンクーバーパラリンピックです。当時のバンクーバー市長が車椅子の方ということもあったからなのか、街中にバリアフリーの工夫がされていたことが印象的でした。また、カナダでは、パラリンピアンに対して国民の興味関心が強く、沿道の方々が私達のバスに向かって手を振って応援してくれました。

2022年に開催された北京冬季パラリンピックはコロナ禍ということもあり、空港に降り立った途端、白い防護服の方たちだらけの厳戒態勢の中での開催でしたが、会場の案内やサポートをするボランティアの方々はそんな重い空気を感じさせず、ボランティア活動を楽しんでいる印象を受けました。選手の出入口ゲートでも、それぞれの国の言葉で「頑張れ」「いってらっしゃい」など、声をかけてくれましたし、最後までボランティア方々のモチベーションが落ちていなかったのには驚きました。ボランティアとしての自負や誇りを持っている方が多かったのも印象的でした。

大型スポーツ大会においては、年々ホスピタリティの工夫がなされているように感じています。自分ができる最大限のことをしようという熱意のあるボランティアの方々のサポートや応援は、参加する私たち選手にとって大きな力になるだけでなく、大会運営においても必要不可欠な要素だと思います。

小池岳太

2 ボランティアの方々のやりがいや喜びを演出するコーディネート力

―大会運営におけるボランティア事業とは、どのようなものですか?

鬼頭
ボランティア事業という言葉はまだ一般に認知されていないかもしれませんが、簡単に説明すると、ボランティアの方々の募集、応募された方々への事前研修、そして現場に出てご案内やサポートをする際の配置・運営といった、大会成功に向けたボランティアのコーディネートが主な業務になります。JCDは2021年に東京で行われた世界最大級のスポーツの祭典において、この業務に携わり、3万人以上のボランティアの方々と関わってきました。

ボランティア事業は、ディレクターやアルバイトの方々を統率して遂行する事業とは全く別物であり、ボランティアの方々が快適に、生き生きと活動していただけるよう演出し環境を整える業務です。参加されるボランティアの方々のモチベーションはとても高く、そのモチベーションを最後まで保ち続けることができるかが大会の成功に大きく関わってくるんですよね。JCDは10年以上のボランティア事業の実績があります。運営ノウハウだけではなく、ボランティアの方々への接し方や、何が一番の喜び・やりがいに繋がるのかを熟知している事が当社の強みです。

白井
私は長くボランティア事業に携わっていますが、ボランティアの方々の参加動機に合わせた関わり方がとても重要だと思っています。ボランティアの方々のモチベーションや期待は様々です。ボランティア活動が未経験の方から、経験が豊富で自発的に行動する方まで、運営側は個々の状況を把握し、ボランティア同士がスムーズに交流し、不安なく活動できるようコーディネートし、一つのイベントとして成功させるということがこの事業の難しさでもあり、醍醐味でもあると感じています。

小池
私は選手として参加する立場ですが、近くで接するボランティアの方々や現地スタッフの皆さんの行動や想いを通して、その国の地域性を知ることが多く、それがその国のイメージに直結します。そういう意味では、ボランティアの方々が大会の「顔」であるとも言えるのではないでしょうか。特にボランティアの方々のモチベーションや教育の質の高さは敏感に感じるので、運営側がどうコーディネートしていくのかも、大会の成功に非常に大きく左右するのではないかと思っています。最近では閉会式等で、ボランティアの方々に感謝をするという演出も増え、非常に重要視されていることを感じます。

白井
大型大会におけるボランティア運営が大会の成功に大きく影響するのは、自らが積極的に大会に関わることにより一体感が生まれ、選手をはじめ大会関係者と共に大会自体を盛り上げる要因に繋がるからなんです。それらの一体感は大会当日に生まれるものではありません。大会前に行われる研修により大会のビジョンや概要を学び、参加者同士でコミュニケーションを図ることにより、時間をかけて形成されていくため、一体感を醸成する研修プログラムが必要になります。JCDでは組織活性や人材育成コンサルの知見、モチベーションやホスピタリティといった独自の行動変容メソッド等も持ち合わせているので、ボランティアの方々への事前研修やマネジメント、ニーズマッチングなどにも活かしています。

3 大型イベント成功に向けたポイントとは

―今後、大型イベントを成功させる際に求められることは何ですか?

鬼頭
今後はボランティアの方々が参画しないと成功しないイベントが、どんどん増えていくと考えています。ですので、イベントを運営する事業者の意識改革を図らないと、ボランティアを必要とする事業を成功させることはできません。ボランティアの方々が何を目的にし、何を喜びにして活動しているのかということも、知っておく必要があるでしょう。そのようなボランティアの方々の原動力を常に察知していくことが運営側の事業者に求められていくことだと思います。

白井
大型イベントの運営の際、ボランティアの方々それぞれの参加モチベーションに合わせた役割や配置を行うような配慮も必要です。ほとんどのボランティアの方々は休日の時間を削り、大会運営に参加してくださっています。その為、選手や関係者、来場者のために大会運営をサポートするだけではなく、大会を支えるボランティアの方々のモチベーションや、活動に参加したことにより得られる満足感や充実感も大事にしています。「また参加したい」という気持ちを醸成することが持続的なボランティア運営につながります。

例えば、私たちはボランティアの方々の控室に工夫を施す事もあります。お客様からいただいた感謝の手紙を控室に貼り出したり、ボランティアの方々が記念撮影できるブースを用意したり、スポーツ大会であればその日の対戦結果やメダル数を掲示したり、控室に入ったら「今日も頑張ろう」と、気持ちを高める取り組みも、モチベーションを保っていただくためには欠かせません。

改善の積み重ねで作り上げられた控室は、スキルアップだけでなくボランティアの方々の交流促進にも繋がり、問合せの多い内容、新着情報、スキル共有のために設置した情報交換ボードをはじめ、主体的に集めた情報を他のボランティアの方々に共有して活用していただける場になっています。その情報を他のボランティアの方々に共有して活用してもらいたい!そんなお声をいただくこともあり、改善の積み重ねで作り上げられた控室は、スキルアップだけでなくボランティアの方々の交流促進にも繋がります。

控室には、問い合わせの多い内容、新着情報、スキル共有のための情報交換ボードを用意。
控室には、問い合わせの多い内容、新着情報、スキル共有のための情報交換ボードを用意。

4 「支援」から「生きがい」へ。変化した参加者の意識

―以前と比べて、ボランティアの方々の意識はどのように変化していますか?

白井
最近のボランティアに参加される方々は、参加者自身の生きがいや自己実現、健康増進など、充実した余暇を送りたいといった想いで参加される傾向にあるようです。また、ボランティア事業は、単に大型大会・イベント運営の場だけでなく、参加した事がきっかけとなり、市民の皆さんが身近な地域貢献活動にも興味・関心を持ち、地域の活性化や地域の方々との交流が生まれたり、その地域に愛着をもつ「関係人口」が増えたりという面も期待されます。なので、ボランティアの方々が楽しく活動するということは地域PRに繋がるんです。

特に観光ボランティアは、活動を通じ、観光案内に必要なスポットや、歴史・食・文化など様々なことに興味を持っていただくことで、「シビックプライド」(「都市に対する市民の誇り」)を醸成することにもつながります。JCDでは、ボランティア事業を通じて福祉・教育・スポーツなど様々なシーンにおいて、市民が積極的に地域事業に参加できる場を提供する事で、魅力的な「まちづくり」の実現を目指しています。

鬼頭
確かに、ご自身の生きがいとしてボランティア活動に参加されている方はとても増えつつあります。イギリスでは、「ボランティア」という言葉の代わりに「ソーシャル・レクリエーション」という言葉が使われ始めているそうです。私たちも事業を通して、少しずつボランティアに対するイメージを変えていきたいと思っています。

5 広がるボランティア事業の裾野。MICEの場でも活躍

―今後、ボランティアとボランティア事業はどのように広がっていくと思いますか?

鬼頭
世界規模のスポーツ大会に限らず、国際会議や博覧会などでも、ボランティアのコーディネート経験や運営実績が開催都市選定の要件となることもあり、大型イベントにおいてその重要性が高まってきています。また、大会やイベント中のボランティアの方々の存在感も益々大きくなっているといえるでしょう。先ほどの小池さんの話にもありましたが、通訳や会場案内など参加者と直接的な接点を持つボランティアの方々は、参加者にとってその都市の「顔」となるわけです。

2025年に開催される大阪・関西万博では、JCDも「TEAM EXPO 2025」プログラム/共創パートナーとして参画しています。各都市が独自に行ってきた都市ボランティア事業を、ICTの活用や多彩な活動プログラムを提供することで活性化させ、自治体などの共創パートナーとして機運醸成から募集、研修、登録、運営実施まで、一連の活動のレベルアップに取り組めるような事業参画を目指しています。

(参考)
JTBコミュニケーションデザイン 大阪・関西万博「TEAM EXPO 2025」プログラムに参画https://www.jtbcom.co.jp/news/2021/1123.html

ボランティアの方々のメッセージがたくさん散りばめられた横断幕。
ボランティアの方々のメッセージがたくさん散りばめられた横断幕。

6 ボランティア事業のリーディングカンパニーを目指して

―今後の皆さんの抱負を教えてください。

白井
私自身ボランティア事業に携わってから、地域の魅力や文化など、多くの事をボランティアの方々から学んでいます。なので、学生の皆さんもどんどんボランティア活動に参加していただきたいですね。ボランティア活動を身近に感じ、様々な人と交流する中で地域課題に向き合う機会を作ることは、まさに「持続可能な社会の実現」に繋がっていくでしょう。社会福祉だけの観点でなく、スポーツや観光、自然保護や文化継承など、誰もが気軽に地域社会の課題や魅力に関わる場を提供できればと思っています。

小池
国が提唱しているスポーツ立国戦略では、スポーツ文化の確立・醸成を目指すため「する人」「観る人」「支える人」を増やしていくことが明示されています。この「支える人」の中には、ボランティアの方々も含まれます。「支える人」のボランティア参加をさらに増やしていくことを、JCDのパラアスリートとして考えていきたいと思っています。今後は小中学校だけでなく、企業内研修やシニアを対象とした講演活動も実施し、ボランティア活動への参加人口を増やしていければと思っています。

鬼頭
大阪・関西万博では、JCDもボランティア事業の運営のノウハウを活かせたらと思っています。そこで日本におけるボランティア活動のイメージをもっと変えていきたいですし、お二人が話したように、幅広い年齢層の参画を促すきっかけ作りをしていきたいですね。そして、JCDをボランティア事業のリーディングカンパニーにしていければと思っています。

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