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JCD NOW!

JTBコミュニケーションデザインの様々な取り組みをご紹介します。

  • 訪日インバウンド促進
  • Case

アフターコロナを見据えたインバウンドへの打ち手とは

日本文化を疑似体験できる
デジタルコンテンツを国内外へ発信

近年、訪日外客数は増加傾向にあり、2019年度は約3,188万人で過去最多となっていましたが、その後、新型コロナウイルス感染症の拡大により世界的に旅行需要が停滞。2020年度は約411万人、前年比△87%の大幅減となりました。

JCDで受託していた多くのインバウンドプロモーションは延期や中止となり、新たな手法での取り組みが求められました。そんな中、エリアマネジメント部プロモーション事業局の中山・三輪は、コーポレートソリューション部 プロデュース局の小川と共に、デジタルコンテンツを活用したプロモーションに着目。数多くの海外向けプロモーションを手掛けてきたJCDとして、この状況下だからこその効果的なプロモーションとなるデジタルコンテンツの企画・発信の仕方、アフターコロナを見据えての可能性を語ります。


  1. ウィズコロナでの海外向けプロモーションの動き
  2. 江戸の食文化を疑似体験! VR動画だからできる演出とは
  3. 日本の家庭料理? 料亭料理? 選べるインタラクティブ動画の楽しさ
  4. デジタル広告配信により一気通貫のPDCAサイクルを達成
  5. デジタルコンテンツを使ったプロモーションはまだまだ進化中!

1 ウィズコロナでの海外向けプロモーションの動き

中山
私が所属しているエリアマネジメント部プロモーション事業局は、主にインバウンドを含めた外国人向けのプロモーションを担当しています。コロナ前はイベントや展示会の運営・広告、ファムトリップ等の事業を行っていましたが、2020年はその内容を延期・内容を変更せざるを得ない状況が続きました。

そんな中実施していたのは、日本の魅力を伝える動画やキービジュアル、キャッチコピーなどのクリエイティブ制作やWEBサイト制作など、いわゆるインバウンド需要が回復した際の基盤づくりです。回復後、制作したコンテンツを発信できるような準備もしています。

三輪
リアルなコミュニケーション機会が制限されている中で、デジタルコンテンツを活用したプロモーションをご提案することがかなり増えました。一方でエンドユーザーも日々数多くのデジタルコンテンツに触れている中なので、企画するにあたっては、社内外のプロフェッショナルと協議しながら、どういう見せ方がベストなのか・面白いと思っていただけるのかを模索しながら進めています。

小川
JCDでは以前より多くのデジタルコンテンツをプロデュースしてきたので、今回もこれまでの知見を生かして取り組んでいたのですが、プロモーションの手法が変わり、見せ方に変化をもたせないといけないことで考えることは増えましたね。ただ、クリエイター達は常にアンテナを張っているので、ハードルが高いほど、新しいアイディアややり方を生み出せるんだなと改めて感じることができました。

本対談は、オンラインで実施しました
本対談は、オンラインで実施しました

2 江戸の食文化を疑似体験! VR動画だからできる演出とは

三輪
事例の1つに、日本の食文化を振興推進する事業があります。この事業は、日本の食文化を日本国内のみならず海外にも発信し、日本の食文化に対する国際的な評価の向上、日本文化を生かした産業や地域活性への寄与を目的としたものです。日本の食文化シンポジウムの開催、WEBサイトやバーチャルリアリティ(VR)動画といったデジタルコンテンツの企画・制作・プロモーションを行いました。

日本の食文化にあまり触れることがない若者や外国人に対して、どうしたら興味を持ってもらえるのか。国内でも海外でもどこにいても日本の食文化を知ってもらうきっかけを創出するにはどうしたらいいのかと考えたときに、VR動画をデジタルで発信するという手法であれば、最初の入り口として、ハードルを下げることができるのではないのかと思ったんです。

VR動画は様々な見せ方ができるのですが、今回は特にVR動画だからこそできることを最大限にいかした内容にしました。普通だと行けない場所へ行けるのがVRの特徴なので、仮想空間だからこそ体験できる江戸時代の日本の食文化をテーマにしたことは、大きなポイントですね。

実際、江戸時代に設定したことで制作面では大変なこともたくさんありました。特に時代背景の文献を丹念に調べたり、有識者に監修してもらったりなど、かなりの労力を費やしました。しかし、あまり堅い内容になり過ぎても、最初の入口を広げた意味がなくなってしまうので、家族で楽しめるようなエンターテインメント性を重視しました。

中山
撮影は京都で、普段時代劇を撮っているようなスタッフが集結しました。京都のプロの料理人の方にもご協力いただき、包丁さばき等のリアルさも追求しています。春夏秋冬の日本の江戸の食文化の特徴をわかりやすく紹介しながら、うなぎやお雑煮を頬張るシーンなどは美味しさや楽しさが伝わるように表現しています。このデジタルコンテンツは今年2月に公開されましたが、今でも再生数が伸びていて、現在のYouTube視聴回数は約2万9000回(2021年8月)。広告を出して一過性で見られるだけでなく、継続的に楽しんで見られているコンテンツとなっています。


●食文化推進事業 360℃ バーチャルリアリティ(VR)動画
 Japanese ver.

https://youtu.be/a_DYHMRL8g0

English ver.

https://youtu.be/_K2UhsfFps0

三輪
一方、WEBサイトはクライアントが考えるイメージをご相談の中で明確にしていき、日本の食文化のブランディングを重視したきれいめで高尚なイメージにしましたが、VR動画のデジタルコンテンツを入れ込むことで親しみやすさを出し、サイト流入のハードルを下げました。そして広告展開はWEBサイトとVR動画のビジュアルを使った2パターンでの広告展開を行い、クライアントの訴求したいブランドイメージを損なわずに、打ち出すことができたと思います。

中山
海外や日本国内から「よくぞ作ってくれました」「早く次が見たい」「エンターテインメントとしても面白い」といった声もあり、VR動画が視聴者の興味関心の入り口として機能していることを示すことができたのは、とても嬉しいですね。

●日本の食文化推進事業 WEBサイト

日本の食文化推進事業 WEBサイト

https://www.bunka.go.jp/foodculture/

3 日本の家庭料理? 料亭料理? 選べるインタラクティブ動画の楽しさ

三輪
もう1つご紹介したい事例は、海外における「食の再体験拡大委託事業」です。こちらもデジタルコンテンツを活用したプロモーションを進めていきました。この事業は、海外における日本食や食文化の更なる普及と、日本産品の輸出促進を目的にしたものです。

日本の食材の輸出拡大という目的のためには、日本の食材に親しみや関心を持ってもらうことが重要になります。コロナ禍でインターネット利用率が増え、それぞれの家庭で料理をする頻度も増えているというデータもあることから、日本の料理を作って楽しんだり、日本の食に興味を持ってもらったりなど、海外にいてもその気分を味わっていただけるよう、来日するという疑似体験も含めた食文化体験コンテンツとしました。
クライアントの意向に添いながら、同時にユーザー目線で今後の生活に使えるものを作っていくことをポイントに、日本食の中でも"一般の家庭料理"と"プロによる料亭の料理"を紹介する分岐動画を制作。WEBサイトと連携しながら、映像と映像の間に選択肢を設けて進めていく構成になっています。例えば、家庭料理を選んだら、数あるメニューの中からトンカツを選ぶなど、ユーザーが能動的に自分で選択して進めていき、視聴するインタラクティブ動画を作りました。

食の再体験を目的としたインタラクティブ動画
食の再体験を目的としたインタラクティブ動画

●Taste of Japan サイト
https://tasteofjapan.maff.go.jp/jp/experience/


小川
家庭料理の動画は日本人の家族に出てもらい、動画を見ている方に対してゲストとして一般の家庭に招き入れ、料理を振る舞うストーリーにしています。おうちに遊びに行って、料理を振る舞ってもらうという疑似体験と共に、レシピ動画を見て日本の食材を用意すれば自分でも作ることのできるような内容になっています。また、料亭料理の動画は、料亭に到着したシーンから始まり、女将さんのお出迎え、一流料理人の包丁さばき、そして美味しい料理を振る舞ってもらう・・・という一連の疑似体験ができる構成になっています。

WEBサイト冒頭の空港からタクシーのお出迎えシーンはほんの数秒ですが、実は撮影に半日かかり・・・その他にもタクシーのブレーキランプのシーンでも約1時間を費やしました。ブレーキランプを合図に家庭料理か料亭料理かを選んでいくのですが、このランプが灯るタイミングなどの調整には実はこだわっています(笑)。「疑似体験ができた」「能動的に行動した」という意識をユーザーに持ってもらうために、こういった細かい部分がメリハリとなって生きてくると考えています。

三輪
こういった視点にクリエイティブ力が発揮されますよね。言葉1つにしても、例えばおにぎりはライスボールにするべきかどうか、など、ターゲットとしている国の方にはどういう言葉がきちんと伝わるのかも、これまでの知見やリサーチに基づき、気を配っています。

4 デジタル広告配信により一気通貫のPDCAサイクルを達成

中山
WEBサイトのみやコンテンツのみなど、別々にご依頼いただくケースもありますが、今回ご紹介した前者の事例では、WEBサイトやVR動画の企画制作からデジタル広告までの一気通貫したデジタルマーケティングを展開できました。

三輪
デジタルコンテンツ制作から広告等の発信、両方を一気通貫でできることがJCDの強みです。制作側と発信側が別ですと、作成したデジタルコンテンツの背景を理解できないまま発信されることにもなるので、広告で伝えたいことと、実際にその中で語っていることに、齟齬が生じてしまうこともあります。広告のクリエイティブから具体的なプロモーションまで一貫してお手伝いすることで、よりクライアントの伝えたいメッセージを届けることができると思います。

中山
基本的なことですが、広告においてはターゲットの選定を緻密にしっかりやるのがポイントです。誰にいつどこで発信するのかの設定が大切で、クリエイティブもどれが最適かチューニングをしながらより適切な広告を配信するのは、当社が得意とするところです。特に海外プロモーションにおいては、国によって嗜好性が異なったり需要期が変わったりするため、グローバルな広告展開になればなるほど、この国にはこのような方たちにこのタイミングを狙って広告展開を加速させるべき、など、今までの経験やノウハウをいかした効果的な運用をご提案できます。

三輪
また、デジタルコンテンツのプロモーションの場合、リアルよりも広告結果が詳細に取れることは大きなメリットになります。実施結果のレポーティングを通じて性別や年齢層、デバイス等のターゲットが分かるので、次回のコンテンツ作りの方針やプロモーション手法の選定に役立ち、PDCAを回すことができます。

PDCAの流れ
PDCAの流れ

 

5 デジタルコンテンツを使ったプロモーションはまだまだ進化中!

小川
ここ数年でデジタルデバイスの発達は大きく、ドローンや360度カメラをはじめ、今までになかった機材や見せ方が増えており、それらを使うことで演出の幅は広がっています。例えばドローンは、人間がなかなか入り込めないカメラワークで見たことのない映像を撮ることができ、価格も手に入りやすく、扱いやすくもあるので、ここまで普及したのだと思います。

VRやARの進化版として、現実と仮想のものを組み合わせた体験型コンテンツも、今後進化していくと予想され、使い方によってはこれからもっと面白い見せ方やプロモーションに繋がる可能性は十分にあります。この1年で、距離が離れていても見たり聞いたりと疑似体験できるということが、多くの人々に肌感覚でわかるようになってきているので、「疑似体験をすることでいつか本当に体験したい」という機運を醸成させるようなデジタルコンテンツをご提案していきたいですね。

三輪
私が今後進化していくと良いなと思っているのが、視覚聴覚だけでなく五感に訴えかけるようなデジタルコンテンツです。特に今回のように食べ物をプロモーションしていく場合、匂いや味も伝えていきたく、デジタルコンテンツを活用することで、旅先の土地や名物グルメの匂いなど五感を刺激する表現ができたら面白いですよね。ECサイトへ繋げて直接購買に結び付けるなど可能性も広がると思います。

デジタルコンテンツは一般的に「とっつきにくい」と思われているようなBtoBの製品をはじめ、なかなか身近に体験することや、説明することが難しいような企業の商品・サービスとも相性が良く、興味関心の入り口となる役割を果たすことができると考えています。デジタルコンテンツを用いてユーザーに体験してもらえば、想像していたより「面白い」「楽しい」と感じてもらえ、親しみを持ってもらえるので、JCDとしてはぜひ他のクライアントにもご提案していきたいですよね。

中山
コロナ禍ではありますが、ワクチンの接種が各国で進み、クライアントも積極的な情報発信を計画しているなど、アフターコロナを見据えた動きはあります。回復した時に次の旅行先に日本が選ばれるためには、継続的なプロモーションは欠かせません。デジタルコンテンツは一度作ってしまえば、貴重な資産になります。インバウンド喚起だけでなく、日本の商品を海外にPRするためのプロモーションに活用することもできますよね。

この状況下で、どんな施策をしたら良いか悩まれている方も多いと思いますが、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。

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