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観光案内所コンシェルジュが語るインバウンド動向最前線

旅のスタイルの変化とともに
多様化する外国人旅行者のニーズ

2022年10月に外国人旅行者の入国制限が緩和され、回復の兆しが見える日本のインバウンド市場。株式会社日本政策投資銀行(DBJ)と公益財団法人日本交通公社(JTBF)が行った「コロナ終息後に行きたい国」調査で、日本は堂々のトップにランクインするほどコロナ禍でも世界の注目を集めていました。それを裏付けるように、2023年3月の訪日外国人数は約181万人にものぼり、2019年の同時期と比較しても約65%の回復という結果に。今回は、JCDが受託運営を行っている観光案内所コンシェルジュの河野と青木に、観光案内所から見た最新のインバウンド状況を語ってもらいました。

回復の兆しを見せている
訪日外国人旅行者数

青木
私は都内の観光案内所のコンシェルジュとして、窓口業務を中心に観光案内所に来た方々の対応を行っています。所属する観光案内所は高速バス到着フロアにあり、日本各地へのアクセス拠点にもなっています。多くの外国人旅行者が日々訪れるので、少しでも日本らしさを感じてもらおうと着物姿で接客しています。

河野
私は2015年にコンシェルジュとして入社し、同じく都内の観光案内所に副施設長として所属し、窓口業務に加えて、スタッフのマネジメントや人材育成を担当しています。インフォメーションデスクのほか、外貨両替所や地域の見どころを紹介する展示スペース、最上階には街を一望できる展望スペースもあります。

最近は、街でも外国人旅行者を目にすることが増えてきたと感じる方も多いのではないでしょうか。それもそのはずで、コロナ前の2019年と比較しても外国人旅行者の約6割が戻ってきているんです。また、国連世界観光機関の観光専門家の約7割が、2024年までに海外旅行市場がコロナ前のレベルに戻ると予想していますし、日本政府も2030年には訪日外国人旅行者数6,000万人(※)を目指しています。日本では2022年10月に本格的に外国人旅行者の受け入れを再開しましたが、今後わずか数年の間にコロナ前のレベルに回復し、さらなる成長が見込まれる市場となると考えられます。
※観光庁「明日の日本を支える観光ビジョン」より

入国制限が緩和された直後は、一人旅の外国人旅行者の方が多く来日されていました。次にいつ感染者数が増えて入国が制限されるかわからない状態だったので、旅の計画を立てず、その日に泊まる宿しか決めていない状態で観光案内所を訪れる人が増えていました。規制が著しく変わる中、皆さん「やっと日本に来ることができた!」というワクワク感に満ちて来日され、私たちはその気持ちに答えるために日々変化する正しい情報を提供できるよう心がけていました。

青木
最近では一人旅の外国人旅行者は落ち着き始め、ご家族で訪日される方も増え、お子様向けのスポットを聞かれることも増えました。また、日本に何度も訪れている方でも、しばらく来日できなかったからと、あえて定番の観光地に足を運んだり、ボランティアガイドを予約したりする方も多い印象です。

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個人発信の情報をもとに旅をプランニング
ポストコロナで旅のスタイルも変化

河野
外国人旅行者の中でも特に欧米の方々はノープランで訪れる方が多く、案内所でのご相談時には旅のプランニングも一緒に行っています。逆にアジアの方々の場合は行きたい場所が決まっていて、そこに行く手段をお伝えするようなご案内が中心でした。ですが、最近ではアジアからの旅行者の傾向に変化が見られ、ノープランの方が増えつつあり、欧米の方々のご案内との差があまりなくなってきたようにも思います。

青木
そうなんですよね。外国人・日本人問わず、SNSなどで発信されている情報を元に、旅をプランニングしてくる方が増えているため、最新情報を常にキャッチアップしていないと、私たちでもお客様に追いつけないこともあります。個人の方がSNSで発信した写真を見て、「この写真の場所に行きたいの!」と言われるお客様と一緒にわずかな手がかりから目的地を探すこともあります。以前はそのようなお問い合わせが少なかったので、旅のスタイルが変化していることを日々実感しています。

河野
コロナ禍は緊急事態宣言の発令などもあって遠出をしづらい環境でした。そのため、身近な環境で非日常を楽しむというカタチが定着したように感じます。特に近年のレトロブームの影響で、若い人たちにとっては浅草のような町が非日常と感じるようで、着物を着てぶらりと散策する日本人もとても増えました。
それに、若い人たちの新しい視点がヒントになって、従来とは違う案内の仕方が生まれたり、今まで見過ごしていたスポットが見つかることもありました。コロナ前とは異なる日本人の客層とコミュニケーションを取ることで、外国人旅行者が戻ってきた時に提案できるアイデアをたくさん得ることができました。
観光業界はコロナ禍で大きなダメージを受けましたが、自国の文化や日常を見つめ直すきっかけにもなりました。観光資源の再発見や磨き上げに力を入れることができ、今後の旅のスタイルを考える上で多くのヒントが得られた期間だったなと深く感じています。

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ポストコロナの旅でも変わらないのは
現地の人と「話をしたい」というニーズ

河野
昔から外国人旅行者は現地の人との会話による交流を楽しみたい。という思いがあります。「話したい」という欲求は、情報がデジタルに置き換わったとしても変わらないニーズです。特に一人旅で日本に来ている方の場合には、質問や困ったことがあっても頼る先がわからず、観光案内所がその相談相手のような位置づけになっています。中には病気や落とし物などのトラブルを相談されるケースや、現地の人の意見が聞きたいと訪れる方も見受けられます。

青木
私が所属している観光案内所は高速バス到着フロアの立地ということもあり、交通アクセスのお問い合わせが非常に多いです。今はアプリなどで誰でも簡単に調べられるようになりましたが、日本の地下鉄などはとても複雑ですよね。様々な訪日外国人向けの交通パスもありますが、どれをどう組み合わせるのか自分で調べるのは限界があるようで、聞かれた際にいくつかご提案すると、とても喜んでもらえます。アクセス情報は今後も変わらないニーズであり、臨機応変な対応力なども観光案内所の役割だと思っています。

河野
今は情報が溢れているからこそ、自分に合った情報を見極めることが難しくなったので、現地にいる人の生の声が求められています。観光案内所でコンシェルジュと直に話すことによって、旅の楽しみがもっと広がりますし、自分だけでは得られなかった生きた情報に出会うことができます。これがリアルな観光案内所を訪れる理由なのだと思います。

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旅マエの情報発信で期待値を高め
旅ナカ体験で訪日後の満足度を高める

青木
デジタル社会の今、たくさんの情報を簡単に手に入れることができるようになりました。外国人旅行者は求める情報を大量に集め、日本に対する期待を膨らませて来日されています。つまり、高まった期待値そのものが旅マエの情報ということになります。だからこそ、旅マエの情報発信がとても重要となり、訪日に繋げていくことが求められています。

私たちが実施している旅マエのメールでのお問い合わせ受付も情報提供のひとつです。外国人観光客からの渡航状況の質問、春には桜の開花予想など四季折々の質問にも答えています。また、日本を思い出してもらうために、東京の魅力をTwitterで発信し始めました。コロナ前までは観光案内所に来ていただきリアルに接遇することに注力していましたが、これからは旅マエの情報発信力も強化し、生の日本の情報をお伝えすることに力を入れていく予定です。

河野
そして、来日した外国人旅行者が観光案内所を訪れ「ここに来たからこそ、自分が求めていた情報が得られた」と思っていただけるよう、コンシェルジュの知識力やコミュニケーション力も強化していきたいです。旅ナカのタッチポイントである観光案内所での体験が良いものであれば、旅全体の満足度が上がり、日本へ再び訪れてもらうことにも繋がっていくと思っています。

実は私は茶道を習っているので、そのスキルを活かし、観光案内所のスペースでお茶体験なども企画できたらと考えています。コンシェルジュ一人一人の魅力も発信していけば、世界に誇ることができるユニークな観光案内所に近づいていくはずです。

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